#32「『HTML解体新書』発売記念!『HTML解体新書』の歩き方」

HTML解体新書』が4月19日(火)に発売されました!発売を記念して、著者の一人であるもんどさん(@momdo_)こと、アクセシビリティ部中村さんに、『HTML解体新書』とは一体どんな本なのか?おすすめトピックは?についてお話していただきました。

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古川
こんにちは!ミツエーテックラジオは株式会社ミツエーリンクスのスタッフが、Webデザイン、WebフロントエンドなどのWeb技術に関する、ニュースやツールなどをシェアしたりするためのポッドキャストです。司会は古川が務めます。
そして今回のゲストは、HTML Living Standardなどの仕様書の日本語訳をされている、あの @momdo_さんこと、アクセシビリティ部の中村さんです! 普段は社内でももんどさん、とお呼びしてるので、テックラジオでも今回もんどさんとお呼びしていきたいと思います。ではさっそくなんですが、もんどさん、さくっと自己紹介お願いします!
もんど
はい、改めまして、ミツエーリンクス、アクセシビリティ部の中村です。
自己紹介ということですが、えーもともとはネット上で、W3CWHAT Working Groupといった団体が発行している、Web技術の仕様書を翻訳して、公開してきました。ミツエーリンクスに入社してから「本物だ!」みたいな反応をされたことがあって、驚いた記憶があります。
古川
はい、もう超びっくりしました。そんなもんどさんは、普段ミツエーリンクスではどんなお仕事をされてるんでしょうか?
もんど
現在はアクセシビリティ エンジニアという肩書きで、Webサイトのアクセシビリティ診断という業務を主に行っています。
古川
ありがとうございます。そしてなんですが、弁護士ドットコム株式会社に所属されている太田さんと共著で『HTML解体新書』っていう本を出版されたということで、おめでとうございます。
もんど
ありがとうございます。
古川
そこでですね、出版を記念して今回のテックラジオでは、『HTML解体新書』がどんな本なのかとか、もんどさん的にオススメなトピックなどを中心にお話聞いていきたいと思います。
もんど
よろしくお願いします。
古川
はい。収録時点では発売前なので、書籍が手元にないんで、出版社のボーンデジタルさんの書籍のページを眺めてたんですけど、これ帯めちゃくちゃすごいですよね。
こう帯に、「「仕様書を読め!」と、上司に言われたら真っ先に読む本!」みたいな、かなりインパクトあることが書いてあったんですけど、『HTML解体新書』は一体どんな内容なのかを簡単に教えてください。
もんど
はい。今言われたように帯にものすごい煽り文句が入ってるんですけども(笑)、一言でいうと本のタイトルのとおり、HTMLについての本です。
例えば、HTML5+CSS3といった、HTMLの入門的な本、というのは本屋さんでリスナーの皆さんもよく見かけるのかなって思います。
これは、あーこの本の企画段階のお話なんですけども、もう少し深くHTMLのことを知りたい!というときに、本格的に「今どきの」HTML、というのを解説している本が、ほとんど見当たらないっていうことがありました。
この本は要素の表面的な説明だけじゃなくて、もう少し踏み込んでいるHTMLの本があったらいいよね、というコンセプトのもとで、世の中に送り出したのが、この『HTML解体新書』になります。
古川
たしかボーンデジタルさんの書籍のページの本の説明文に、中・上級者向けのようなことが書いてあった気がするんですけど、HTMLについて基礎を一通り押さえている人が読む感じでしょうか?
もんど
そうですね、主なターゲットは、さっき言ったような、HTML5+CSS3といった本を、既に1冊読んでいて、もうちょっとHTMLのことを知りたい、という読者を想定しています。
その一方で、そもそもタグって何?属性って何?っていうような基本的なお話もありますし、あと、HTMLとHTTP、URLの3つの技術でWebができているのは、リスナーの皆さんもご存知なのかな、って思うんですけども、そういうHTMLに関連した周辺の知識もこの本では扱っています。
古川
へー、なるほど。
もんど
ボーンデジタルさんのWebページに、この本のサンプルが載っていまして、そのサンプルを見てもらうとわかるんですけども、本文の脇にですね、メモの欄というのがあります。そのメモが結構な密度で書いてあって、補足説明だけじゃなく、マニアックな知識なんかも書いていたりします。ですので、初心者でも読めなくはない、とは思うんですが、学生さんであれば教科書として、あるいは会社であればメンターみたいな、あーちょっと詳しい人と一緒に読んでいくと、よいのかなって思います。
古川
んーなるほど。本の特徴的には、他にどんなところがポイントですか?
もんど
はい、えー共著者の太田さんは、表紙がピンク色の本として知られている、『デザイニングWebアクセシビリティ』という、まぁアクセシビリティ界隈では有名な本の著者さんでもあるんですけども、太田さんはセキュリティの分野にも精通されてる方なんですね。ですので、クロスサイト・スクリプティングのようなセキュリティの話題も書いてあったりして、HTMLを軸にいろんな知識が載っているというのがこの本の特徴かなって思います。
古川
めっちゃおもしろそうですね。
もんど
そうですね、めっちゃおもしろいんですよ笑
あとは、あのHTMLを手書きしたときに、属性のダブルクォーテーションがペアになっていないとか、タグを閉じ忘れているとか、そういうHTMLの構文エラーに出くわしたときに、ブラウザーがどういう挙動をするのか、かなり突っ込んだお話が書いてあるセクションもあったりします。
古川
普段何気なく目にしている事象について、それが起きてる仕組みが言語化されて載ってるっていう感じですね?
もんど
はい、タグの閉じ忘れが起きたときにこうなる、というお話は、太田さんがメインで原稿を書かれているんですけども、その原稿を読んでいて、私も結構勉強になりました。この、タグの閉じ忘れのお話っていうのは、HTMLの仕様書の中で、主にブラウザーを作る人向けのパートになるんですけども、そういうところって、普段読まないじゃないですか。
古川
うーん、読まないですね、まぁ自信満々に言うことじゃないですけど…。
もんど
かなりHTMLに精通してる人でないと、なかなかそこまで読まないと思うんですよね。
そういう、普段のWeb制作では読まないようなところを解説してくれる本というのは、結構珍しいのかなと思っています。この本を頼りに、読み慣れてない仕様書のパートについて、こういう風にを読めばいいんだみたいな、新たな気づきも上級者の方にはあるのかなって思います。
古川
あのー、仕様書の読み方っていうところに関連してなんですけど、目次で「技術情報との関わり方」っていう項目があった気がするんですが、これってもんどさん自身の経験則がぎゅっと詰まっている感じですか?
もんど
そうですね、がんばって詰め込んでみました。
たとえば、HTMLの仕様書はこんな構成になっています、という、目次のお話なんかもあります。また、Webページをつくっていくと、スタイルシートでわからないことがある、ってことが起きると思うんですよね。このスタイルシートは、まぁたくさん仕様書があるんですけども、どれが最新なのか、見失いやすいところなんですね。で、そういうふうな時にどうやって新しい情報にたどり着くのか、みたいなヒントもこの本では扱っています。
古川
んーなるほど。ここまでいろいろお話聞いてきて、もう早く読みたくてたまらないんですけど、ちなみにこの本の中で、特にもんどさん的におすすめな章ってどのあたりでしょうか。
もんど
はい。まぁ正直、いろんなところがオススメではあるんですけども、太田さんも私もWebアクセシビリティに詳しい、ということもあって、アクセシビリティについて結構力を入れて書いています。ですので、ここではWAI-ARIAをおすすめしたいと思います。
古川
目次でいうところの4章ですね。
もんど
はい。WAI-ARIAについて、基礎的なところを、正面から説明した本ってあんまりないのかなって思っています。HTMLとWAI-ARIAという組み合わせをがっつり解説しているのが、この4章になりますね。
古川
たしか太田さんって以前、ちまたで緑本と言われてる『コーディングWebアクセシビリティ』っていう、 WAI-ARIAに関連した本を出版されてたと思うんですけど、それとはどう異なるんでしょうか。
もんど
そうですね。それはデザイニングWebアクセシビリティの姉妹本になってくるわけなんでけども、通称緑色の本というのは、あるユースケースで、ARIAをこういう風に使ったらいいよ、というまぁ結構実践的な本だったと記憶しています。『HTML解体新書』では、実践的な使い方にも触れているんですけども、もっと手前のところ、WAI-ARIAの仕組みってそもそも何?っていう、土台のところをしっかり説明しています。
古川
そういえばボーンデジタルの書籍ページのサンプルにWAI-ARIAのページの一部が掲載されていた気がします。もんどさん的おすすめセクションを気になる方はぜひチェックしてみてください。

はい、ということで、今日はもんどさんに『HTML解体新書』についてお話頂いたんですけど、こちら発売日が4月19日なので、このポッドキャストが公開される頃くらいにはもしかすると、もうお手元にある方もいらっしゃるかもしれないですね。ちなみに、これ最初に聞いておけよって感じなんですけど、どうしてこの『HTML解体新書』を書こうと思ったんですか?
もんど
はい。まぁこの本を書いたきっかけについては、やっぱり最初のほうでも触れたんですけども、HTMLの知識をステップアップするような本がなかった、というところが大きいですね。紆余曲折あって出版までに5年かかってしまったんですけど。
古川
えーこれあれですよね、5年執筆にかかった間に、そういう本が出版されてないってことじゃないですか。これは、書く人がいないってことなんですかね?
もんど
どうなんでしょうね?ひとことで「HTML」と言っても、やっぱり結構広くて深いと思うんで、まぁ本を書ける人というのはある程度限られてくるのかなって思います。私はHTML Living Standardという仕様書を、部分的にですけども翻訳している、ということもあって、ある程度はHTMLのことを俯瞰できてるのかなって思ってます。
で、古くからHTMLを書いてる方はご存知なのかな、と思うんですけど、共著者の太田さんはHTML4という仕様書の翻訳を、委員会という形式で何人か集まってされていたんですけども、そのうちのメンバーの一人でもあります。ですので、太田さんもHTMLの深いところというのはよくご存じなわけです。
これは自画自賛になっちゃうんですけども、この2人がタッグを組んでいなかったら、誰が書く?みたいところはあるのかなと思います。
古川
いや、もうこれ、奇跡のタッグが生んだ至高の1冊だと思ってます!
では、最後になんですけど、『HTML解体新書』を購入検討されている方へ、何かメッセージがありましたらお願いします。
もんど
そうですね、これまでのお話でちょっと難しそうって思った方もいるのかなと思うんですけども、たとえば、link要素のリンクタイプって何だったかな?ってなったときに、知りたいところだけを拾い読みしていくような、気軽な読み方もできるのかなって思います。
古川
今日お話を聞いて思ったんですけど、たとえばこの本を中級者が読んだらさらに知識が深まるだろうし、上級者だったらこの本を参考に自分で仕様書を読んだりだとか、あとは別の領域に転用したりだとか、読み手のレベルによってこの本から得られるものが異なるのかなーと思いました。そういった意味では、Web制作に携わる場合は一生添い遂げられそうな本だなって感じました。
もんど
そうですね…添い遂げるというのはなかなか重い言葉になってきますね笑
そうですね、そういった意味ですと、1章や2章を読み物として読んでもらう、3章や4章をリファレンスとして使ってもらうというように切り替えてもらうと、この本にとっつきやすいのかなと思います。
古川
つまりWeb制作に携わる人全員購入必須ってことですか?
もんど
まぁ必須、というのは書いた側が決めることじゃないと思うんですけども(苦笑)、これからいろんな方にこの本を読んでもらって、読者の声として「必携の書」みたいな評価がもらえたら著者冥利に尽きるのかなと思います。
そういった評価はさておいて、まずは、手にとって立ち読みしていただけると私は嬉しいです。もちろん買っていただくと、出版社の中の人を始め、関係者のみなさんがとても喜ぶと思います。
古川
はい、ぜひみなさんお手に取ってみてください!
ということで、今回のポッドキャストは以上です。ミツエーリンクスではスマートなコミュニケーションをデザインしたいUIデザイナー、UI開発者を募集しています。採用サイトではオンライン説明会やオンライン面接なども行っていますのでぜひチェックしてみてください。
また、このPodcastはApple Podcast、Google Podcast、Amazon Music、Spotify、YouTubeで配信していますので、お好みのプラットフォームでフォローいただけると、最新のエピソードをすぐに視聴できます!こちらもぜひご活用ください。最後に「#ミツエーテックラジオ」でご意見、ご感想、こんなこと話してほしいというリクエストなどお待ちしております。
それでは今日はこの辺で!ありがとうございましたー!
もんど
ありがとうございました!