Smart Communication Design Company
ホーム > ナレッジ > コラム > 2017年 > CSUN 2017参加報告

CSUN 2017参加報告

2017年3月24日

取締役社長
木達 一仁

2月27日から3月4日にかけて、米国San DiegoにありますManchester Grand Hyatt Hotelを会場に催された、CSUN Assistive Technology Conference(以下「CSUN」)に参加しました。CSUNは、Webに限らずさまざまな分野のアクセシビリティを扱う国際的なカンファレンスで、その規模は世界最大級と言われています。32回目を迎えた今年、名称を「International Technology and Persons with Disabilities Conference」から先述のものに変更、支援技術を強く打ち出した新たなブランドでもって開催されました。

開催期間のうち、私は3月1日〜3日の3日間に設けられたセッション(1セッション40分間)に参加しました。同じ時間帯におよそ15〜20ほどのセッションが、ホテル内の異なる部屋で同時に行われるため、Webに分野を絞ったとしても、どれを聴講するか選ぶのは一苦労です。消防法の関係らしいのですが、座席の数以上は決して部屋に入れず、立ち見も許されないため、必ずしも希望のセッションが聴講できるとは限らないのも、悩ましいところです。実際、私も3日間のあいだに2度、第一希望が叶わず第二希望のセッションを受講しました。以下に私が受講したセッションを、タイトルだけですが意訳してご紹介します:

1日目(3月1日)
  • W3CにおけるWebアクセシビリティ関連の主要な取組み(研究を含む)(Web Accessibility: Finding Key Work Including Research in Reorganized W3C)
  • アクセシビリティチェックツールのトレンド、パターン、そして将来動向(Automatica11y: Trends, Patterns, Predictions in Audit Tooling and Data)
  • 2017年のデザイントレンドとアクセシビリティへの影響(2017 Design Trends and Their Impact on Accessibility)
  • ブックマークレットで実践するクロスブラウザーなモバイルアクセシビリティチェック(Cross-Browser, Mobile Web Accessibility Testing w/ JavaScript Bookmarklets)
  • ARIAの実装:何が機能し、そしてサポート状況のギャップを埋めるか(Implementing ARIA: What Works and Filling Support Gaps)
  • WCAGやリハビリテーション法508条に対応したPDFファイルの作成法(Create PDFs that Conform to WCAG, PDF U/A & 508 Accessibility Standards)
  • AT&Tのチャット機能にみるARIAの実装事例(AT&T Mobile and Desktop Chat with ARIA: A Look Under the Hood)
2日目(3月2日)
  • コーディングに着手する前に:最初からアクセシビリティを考慮するということ(Design Before Code: Thinking About Accessibility from the Ground Up)
  • 手動アクセシビリティチェックの拡充(Scaling Manual Accessibility Testing)
  • アクセシビリティ再考:役割に基づくWCAG 2.0の分析(Rethinking Accessibility: Role-Base Analysis of WCAG 2.0)
  • 弱視タスクフォースがWCAG 2.1に提案した達成基準(Low Vision Task Force - Proposed Success Criteria for WCAG 2.1)
  • SVGアクセシビリティの基礎(SVG Accessibility Basics)
  • モバイルアクセシビリティ:デスクトップとモバイルに違いはどれだけあるのか?(Mobile Accessibility: Is Mobile Really Different than Desktop?)
  • WCAG 2.1の後には何が来るのか?(What Comes After WCAG 2.1?)
3日目(3月3日)
  • Webアクセシビリティの案内役:教育&アウトリーチ・ワーキンググループのアップデート2017年版(The WAI to Web Accessibility: Education & Outreach Update 2017)
  • ARIAの実装要件:ARIAを実装する前に知っておくべきこと(ARIA prerequisites: What You Need to Know Before Implementing ARIA)
  • レスポンシブデザインがアクセシビリティにもたらしたメリットとチャレンジ(Accessibility Wins and Challenges of Responsive Design with Solutions)
  • eBayがアクセシビリティ対応で活用するオープンソースのリソース(eBay's Open Source Accessibility)
  • 今こそ行動せよ:アクセシビリティ準拠テスト・タスクフォースの活動(ACT Now: Accessibility Conformance Testing for WCAG)
  • WCAG 2.1 — アクセシビリティガイドラインの新バージョン(WCAG 2.1--A New Version of Accessibility Guidelines)
  • 達成基準における依存関係と優先度:その関係と活用(Success Criteria Dependencies & Prioritization: Implications & Use)
  • 何がアクセシブルなサービス提供を阻むのか?(What's Stopping Us All from Making Accessible Services?)

本コラム冒頭の映像レポートでも述べたように、今年のCSUNではWeb Content Accessibility Guidelines(以下「WCAG」)に関するセッションに注目、受講しました。現在、世界中で広く活用されているWCAGは、2008年にW3C/WAIが勧告し、2012年にはISO標準となったバージョン2.0。しばらくアップデートの動きがなかったWCAG 2.0に対し、「拡張」を開発する議論が起こった時期もありましたが、その後バージョン2.1を発行する流れとなり、今年のCSUNにタイミングを合わせたのか期間中の2月28日、最初の公開草案が公開されたのです。

モバイル機器、弱視、そして認知障害への対応が強化されたWCAG 2.1の最初の公開草案では、都合28もの達成基準が新たに加えられています。今後、順調に策定作業が進行すれば、2018年6月には勧告されるとのこと。今年から来年にかけて、Webアクセシビリティ界隈ではおそらく、WCAG 2.1関連の話題や取組みが注目を浴び続ける……そんな印象を強く受けた、今年のCSUNでありました。

最後にセミナーのお知らせです。来る4月21日、今年のCSUNに参加された株式会社インフォアクシアの植木様、サイボウズ株式会社の小林様、株式会社コンセントの秋山様とご一緒に、CSUN 2017 参加報告セミナーを開催します。W3C/WAIの最新動向やWCAG 2.1関連の情報はもちろん、参加者それぞれの視点からみた今年のCSUN、そして2017年のWebアクセシビリティ動向について、皆様と共有したいと考え企画しました。当社主催のセミナーの多くは、同業の方には参加をご遠慮いただいているのですが、本セミナーについては興味のある方であればどなたでもご参加いただけます。ご都合がつくようでしたら、ぜひご参加ください。