WCAG2.0解説書の翻訳を終えて

アクセシビリティ・エンジニア 畠山

2016年12月末、ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)より2016年3月17日付けのUnderstanding WCAG 2.0の翻訳版WCAG 2.0 解説書が公開されました。

WCAG 2.0 解説書は、WCAG 2.0(日本語訳)を理解するための参考文書であり、WCAG 2.0の関連文書の1つです。そして、これらWCAG 2.0の関連文書翻訳版のメンテナンスを行っているのは、WAICの作業部会4(翻訳)の委員およびオブザーバーの皆さんです。当社からも委員およびオブザーバーとして、計4人が参加しています。

現在作業部会4ではWCAG 2.0のもう1つの関連文書である、Techniques for WCAG 2.0の翻訳版WCAG 2.0 実装方法集を2016年3月17日付けのものにするべく、引き続き翻訳を行っています。

作業は継続中ですが、関連文書の公開を経ての所感を、当社の委員およびオブサーバーからコメントさせていただきます。

WCAG 2.0 解説書を翻訳するのは容易なことではありませんでした。原文が複雑で難しいことはもちろん、日本語では一般的ではない用語が出てくることもあり、翻訳の難しさを痛感しました。WCAG 2.0 解説書は複数人で翻訳しているため、訳文の統一がなされていない箇所もあります。そういった箇所の見直しは今後も作業部会で行っていく予定です。当面はWCAG 2.0 実装方法集の翻訳版の更新を進めていきます。
(アクセシビリティ・エンジニア 畠山)

文芸翻訳と技術翻訳の差異だけでなく、十人を超える人数での翻訳でしたので、表現の揺れ幅を抑えるべく、他の方の訳語や表現にいつも以上に留意しました。抽象性の高さを保ちつつ日本語に違和感なく落とし込む難しさにたびたび指が止まりました。また、統一を図るために中心で取りまとめを担当・準備してくださった方々のパワフルさと技術と深い知見と何より熱意に、大きな刺激をいただきました。貴重な機会を得られたことに感謝しつつ引き続き翻訳に取り組みます。
(アクセシビリティ・エンジニア 小出)

私はアクセシビリティの専門家ではなくWebディレクターです。なので、翻訳で注力したことは「この表現ならお客様は分かりやすいのでは?」「これを読んで新人Webディレクターはどう感じるか?」という非専門家の目線でした。非専門家として関わることで分かりやすさへ寄与することを個人目的としていましたが、翻訳作業部会を通じて他社/自社メンバーの思慮を知ることは当初考えていた以上に自身のWCAG2.0理解を深められたと思います。
(Webディレクター 山口)