米国リハビリテーション法508条改定についての最新情報:情報通信機器・サービスに関する技術基準(ICT)の最終基準が公開

アクセシビリティ・エンジニア 畠山

(この記事は、2017年1月18日に公開された記事「Section 508 Refresh Update: ICT Final Rule Published」の日本語訳です。Deque Systems社の許諾を得て、お届けしています。翻訳の正確性は保証いたしかねますので、必要に応じ原文を参照ください。)

リハビリテーション法508条のブリーフィングを表現するためのアメリカ国旗が手前にある庁舎を引きで見た写真

先週、私たちは長らく待ち望んでいた米国リハビリテーション法508条改定がようやく行われるというニュースを共有しました。米国連邦政府のアクセス委員会は先週の火曜日、ICT最終基準のパブリックブリーフィングを行い、その内容は本日1月18日に連邦官報より公開されます。前回の記事で説明したように、この最終基準の施行および準拠の有効日は、連邦官報の公開日から12カ月後である、2018年1月18日より開始となります。

私たちは幸いなことにブリーフィングに参加し(そして歴史が作られる瞬間を目撃しました)、リハビリテーション法508条改定で私たちが予測できる変更点はアクセス委員会により取り上げられました。アクセス委員会のTimothy CreaganとBruce Baileyはアップデートされた内容を詳細に説明しました。私たちは508条改定の中で貴社に最も影響があると思われる5つの主要ポイントをピックアップしました:

  1. 適合日とセーフハーバー条約 - 改定された基準への適合は、連邦官報より発表され1年経った日から求められます。アクセス委員会からの最新の情報によると、最終基準は本日2017年1月18日に公開されるとのことです。最終基準は2017年3月17日より有効になり、各組織は2018年1月18日までに適合することが求められています。2018年の適合日より後に作成、もしくは変更されたすべての情報通信技術(ICT - Webサイト、Webベースのアプリケーション、電子文書を含みます)は新しい基準に適合しなければなりません。しかし、最終基準には下記のことを記したセーフハーバー条約が含まれています:

改定前の508条に適合している古い情報通信技術で、適合日以降に変更されていないもの(例:最終基準発行から1年後のもの)は、改定された508条に適合するために修正や更新をする必要はありません。しかし、すでに存在する情報通信技術が適合日より後に変更された場合、変更された部分は改定された508条に適合する必要があります。

同じように、新しいセーフハーバー条約はページ内で更新された箇所のみの適合を対象とする、一部適合を許容しています。

2.Web、ソフトウェアおよび電子文書 (コンテンツ)にWCAG AA 2.0を採用 - 新しいもしくは変更されたソフトウェア(ネイティブアプリ、アプリケーション、LMSなど)、Web(Webサイト、Webページ、Webアプリ)、デジタルコンテンツ(文書、公式機関からの情報、メディアやデータ)、そしてモバイルデバイス上のデジタルコンテンツはWCAG 2.0 AAに適合することが求められます。

  1. 電気通信法255条の更新 - 255条は連邦通信委員会の電気通信機器製造業者およびサービスプロバイダへのアクセシビリティの規則です。前回の255条の更新は2000年に行われました。255条の改定は、スマートフォンやモバイル技術など、21世紀の電気通信技術の現状に整合させることでした。255条の規則に影響があるのは電子通信機器のハードウェアだけではなく、スマートフォンに搭載されたアドレス帳や電話機能を持ったアプリなどのデバイスに欠かせないソフトウェアも255条に適合しなければなりません。

  2. オーサリングツールの適合 - これはMicrosoft Word、Microsoft Office、Dreamweaverなどのオーサリングツールすべてが対象です。これらのオーサリングツールはアクセシブルなコンテンツを作成するための機能を持っている必要があります。この機能はアクセシブルなコンテンツの作成に加え、アクセシビリティに関する情報などを制作者に要求する機能があることや、アクセシブルなテンプレートを含んでいることが求められます。

  3. 機能的パフォーマンス基準 - 最終基準によると:

改定された基準は機能的パフォーマンス基準を含み、それらは2種類の限られた条件で適応される成果に基づいた対策です:技術要件が情報通信技術の1つかそれ以上の項目に対応していない場合、もしくは同等の環境で代わりのデザインや技術の検討が必要とされる場合です

言い換えますと:サイトもしくはアプリケーションの一部が508条の技術要件で取り扱っていない技術やソフトウェアを使用していない(これはWebやモバイル技術の急速な進歩により時々起こります)、もしくは技術的に適合することがアクセシブルなユーザー体験を生み出さないという稀な状況によりアクセシブルではない場合、508条適合を見極めるため、機能的パフォーマンス基準を参照しなければならないということです。機能的パフォーマンス基準はこういったケースが起こった場合、情報通信技術を使用できない障害の種類に応じて代わりに操作する方法を提供することを求めています。以前は、508条にこのような特徴はありませんでした。508条改定では新たに認知障害、運動制限、さらに体力制限の抱えている問題を機能的パフォーマンス基準に加えました。これらの障害へのアクセシビリティ基準や実装方法は不足しがちなのです。

リハビリテーション法508条改定に関するさらなるリソース

これは508条の重要な変更点についての単なる概要です。アクセス委員会では508条の変更点や更新点を2017年2月2日午後2:30(EST)から予定されている508条改定オンラインセミナーでさらに説明します。

現在のガイドライン、それらの変更点、そしてWCAG 2.0のアウトラインをさらに理解するにはDeque Systems社の508条改定eGuideをご参照ください。そして508条改定についての最新情報や関連情報についてはブログ更新をお待ちください。

最新情報を知るといえば、アクセシビリティについて今から学び始めましょう。わかりやすいアクセシビリティトレーニングについてはDeque Systems社のDeque Universityをご確認ください。変更し続けるアクセシビリティ基準に適合するために、Deque Systems社のアクセシビリティ検証ツールをご確認いただいたり、アクセシビリティ診断についてにお問い合わせください。