Lighthouse 2.7のリリース

エグゼクティブ・フェロー 木達

Googleがオープンソースで開発している監査ツール、Lighthouseバージョン2.7がリリースされました。主な変更点として挙げられているうち、個人的に気になったのが手動によるアクセシビリティ監査です。Lighthouseはこれまで、表示しているWebページやWebアプリのアクセシビリティについて、機械的に自動で実現可能な監査を提供してきましたが、加えて

  • 論理的なタブ移動順序を有していること
  • インタラクティブなコントロールがキーボードでフォーカス可能であること
  • ページに追加された新規コンテンツにフォーカスが移動すること
  • ユーザーのフォーカスが誤ってコンテンツ内に閉じ込められないこと
  • カスタムコントロールはラベルが関連づけられていること
  • カスタムコントロールはWAI-ARIAでロール(役割)が与えられていること
  • 表示における視覚的な順序がDOMにおける順序に従っていること
  • 画面に表示されないコンテンツが支援技術に対して隠されていること
  • 見出しレベルをスキップしていないこと
  • ナビゲーションを改善するうえでランドマークとして役立つ要素を使っていること

という10項目の手動監査を提示するようになりました(各項は著者による意訳)。

Chrome拡張版のLighthouse 2.7を使いアクセシビリティ監査を行った結果のスクリーンショット

機械的な監査に加えて、これらすべてを満たせばアクセシビリティ品質は完璧か? というと、そうは言い切れません。Lighthouseの提供する監査は、自動によるものと今回新たに提示された手動によるものを足し合わせても、WCAG 2.0で定義されているガイドラインすべてを網羅しているわけではありません。

しかし手動監査の提示は、非常に有意義であると私は思います。機械監査でたとえ100点満点のスコアを獲得できたとしても、それで慢心してはいけないというメッセージとして有効と考えるからです。同時にWebデザイナーやWeb開発者に対して、Webアクセシビリティのすべてを機械的にチェックすることは(少なくとも現時点では)難しい、との共通認識をもたらす意味でも有効ではないかと思います。

Lighthouse 2.7はChrome 65に同梱されますが、リリースはまだ少し先です(Chromium Development Calendar and Release Info参照)。今すぐLighthouse 2.7を利用するには、Chrome用の拡張をお使いいただくか、開発者向けのChrome Canaryでお使いください。