CSUN 2019 初日レポート

アクセシビリティ・エンジニア 畠山

CSUN 2019に初めて参加しています。今年の開催地、カリフォルニア州アナハイムより毎日レポートを書きたいと思います。

CSUNとは、CSUN Assistive Technology Conferenceの略称で、世界最大級のアクセシビリティに関する国際会議のことを指しています。今年は34回目だそうです。今年は3月11日から15日までの開催で、11日、12日はカンファレンス前のワークショップや、キーノートのみが実施されます。12日はキーノートに参加しましたので、今回はその様子をお伝えしたいと思います。

キーノートについて

私は30分ほど前に会場に入室したのですが、その時点ですでに何名か参加者の方が座っていました。

個人的に印象に残ったのは、スライドを表示するメインのスクリーンの他に、左右に1つずつスクリーンが用意され、そこにライブキャプションを表示していたことです。アクセシビリティのカンファレンスなのであって当たり前といえば当たり前なのかもしれませんが、発表している内容にキャプションをつけるというのは、決して簡単なことではありません。動画のキャプションと言われて想像しやすいのはYouTubeのものだと思いますが、これは正確ではないことが多々あり、なかなか実現させるのは難しいのではないかと感じていました。このような場で正確なライブキャプションを見ることができたのは貴重な体験でした。

キーノートスピーカーのJohanna Luchtさんのトークテーマは、支援技術とは何か、でした。法律などでは支援技術は障害を持つ人のサポートをするための技術として定義されることがほとんどです(※)。ですが、支援技術は障害を持つ人をサポートするためだけのものなのでしょうか。Johanna Luchtさんは、そのようなことはないと考えている、とお話しになっていました。

ADAでのAssistive Technologyの定義

Johanna Luchtさんはキャプションを例にあげ、聴覚障害者以外のユーザーもキャプションに助けられているということを話していました。私自身も音を出せない環境でキャプションがあれば、と思ったことは何度もあります。そのほかにも、洋画を見る際、英語の字幕がついているととても助かることがあります。

それ以外にも、人間は空を飛べない代わりに、飛行機で移動するという例を出されていました。極端な例ではありますが、「できないことを補う」という点では飛行機も確かに支援技術の一部としてとらえることができるかもしれない、と思いました。

Johanna Luchtさんのスピーチを聞き、支援技術は決して障害を持つ人のサポートのためだけのものではないことをあらためて感じました。Johanna Luchtさんはスピーチの中で、assistive technology(支援技術=障害がある人のサポートのための技術)ではなく、access technology(アクセス技術=できないことを補うための技術)ではないか、とおっしゃっていましたが、確かにその通りだと思います。支援技術という言葉の意味にとらわれず、今存在するそれぞれの技術がどのような場面でどのようなユーザーをサポートすることができるのか、を意識していきたいと思いました。

13日からはセッションが始まります。さまざまなセッションを聞いて、新しい知識や視点を得られることを楽しみにしています。