ひっそりと廃止扱いされたWCAG 1.0

アクセシビリティ・エンジニア 中村(直)

1999年にW3C勧告となったWeb Content Accessibility Guidelines 1.0参考日本語訳)について、2021年5月18日付けでSuperseded Recommendationのステータスとなり、廃止扱いになりました。

WCAG 2.0の基礎となったWCAG 1.0がどのようなものであったのか、簡単に振り返ってみますと、14のガイドラインで構成されており、各ガイドラインはチェックポイントを持ち、3つの優先度に分類されていました。

  • 優先度1:Web開発者が満たさなければならないもの(must)
  • 優先度2:Web開発者が満たすべきもの(should)
  • 優先度3:Web開発者が取り組んでもよいもの(may)

しかしながら、WCAG 1.0に対していくつかの問題が指摘されることになります。

  • 優先度について、優先度1さえ取り組めばよいといった誤解を招いている
  • ガイドラインの中にはHTMLに依存するものがある
  • 一部のチェックポイントは"Until user agents ..."という、ユーザーエージェント(支援技術を含むWebブラウザー)の成熟を待つような記述がある
    • WCAG 1.0自体がWebの技術変化に対応できていない
  • 非英語圏の事情を必ずしもくみ取れておらず、国際化の観点を欠いている

このような欠点を克服すべく、さまざまな議論を重ねた上でWCAG 1.0の次世代として策定されたガイドラインが、2008年にW3C勧告となったWCAG 2.0ということになります。

WCAG 1.0を読み返してみると、20年以上前に策定されたものであるため当然内容は陳腐化しているわけですが、WCAG 2.0にはないシンプルさがあるなと改めて感じている次第です。