ARIA in HTML仕様が勧告候補に
アクセシビリティ・エンジニア 中村(直)W3Cからアナウンスがあるように、ARIA in HTML仕様(参考日本語訳)が勧告候補(Candidate Recommendation)になりました(W3C Invites Implementations of ARIA in HTML)。
ARIA in HTMLは、WAI-ARIAをHTMLで使用するにあたっての適合要件を定めるものです。
ご存じの方も多いとは思いますが、内容に関して具体的な例を通して簡単に見てみましょう。
例えばmain要素の場合、3章のテーブルをたどっていくと、2列目の暗黙のARIAセマンティクス(Implicit ARIA semantics)としてrole=mainが規定されていることがわかります。これは、HTML Standardのmain要素の冒頭の要素定義で、Accessibility considerationsのFor authorsのリンクからもたどることができます。
また、テーブルの3列目ではroleなし(No role)とあり、暗黙のARIAセマンティクスを上書きしてはならないことを意味します。
言いかえれば、main要素はWAI-ARIAのmainロールを持っており、role属性でmain以外の値を記載できないことなります。さらに、暗黙のARIAセマンティクスと同じroleを設定すべきではないことが規定されています。このことは、通常main要素でrole属性を使用しないということになります。
さらにARIA in HTMLでは、2章でコード例を交えてARIAの誤った使い方について記載されています。これらの例は基本的にNu Html Checkerでチェックを行ったときにエラーまたは警告として報告されるものであります。前述のmainに関しても、main要素にmainロールという例が記載されています。ARIAの使用時には特別な理由がない限り、このような例を避けるのがよいでしょう。
最後にWAI-ARIAの関連リソースとしては、Using ARIAやWAI-ARIA Authoring Practicesなどが別に存在しており、HTML in ARIAでもこれら文書に関するリンクとごく簡単な説明がされています。WAI-ARIAに関する情報が分散しており把握しづらいところではありますが、要点を押さえておきたいところです。