NVDA 2021.3jpで改善されたテーブル見出しセルの読み上げ

アクセシビリティ・エンジニア 大塚

昨年末のことにはなりますが、無料・オープンソースで利用できるスクリーンリーダーNVDA日本語版のバージョン2021.3jpがリリースされました。

いくつかの機能追加やバグ修正が行われているのですが、今回はChromeでのテーブルの見出しセルの読み上げの改善について簡単に触れたいと思います。そのほかの更新情報については、NVDA 2021.3jpのリリースノートをご覧ください。なお、2021.3jpのリリース後に点字ディスプレイに関連した修正が行われたため、現行の最新バージョンは2021.3.1jpとなります。

NVDAをはじめとする多くのスクリーンリーダーは、テーブルにテーブル見出し(<th>要素)が記載されていると、データセル(<td>要素)の内容を読み上げさせたときに、対応する見出しセルの内容を併せて読み上げます。そのため、テーブルの行と列の対応関係を比較的容易に把握できます。

以前のバージョンのNVDAでは、テーブルの見出しセルの内容を読み上げさせたとき、列の名前を誤って二度読み上げていました。例えば、Tables with two headers • Tables • WAI Web Accessibility TutorialsのExample 1の見出しセルを読み上げさせると、「Monday 2列 Monday」と読み上げていました。

この問題が最新版のNVDAでは改善され、「2列 Monday」と読み上げるようになりました。

スクリーンリーダーを使いWebページを閲覧する際、同じ情報が何度も重複して読み上げられてしまうと、目的の情報を得るために必要以上に時間がかかってしまいます。ただし、以前のバージョンでも内容が重複して読み上げられるのは、見出しセルが記載された列を読み上げたときに限られており、データセルを読み上げさせたときに併せて読み上げられる見出しセルの内容については、正しく一度だけ読み上げられます。

今回はNVDAの直近の更新情報の中から、ブラウザーでの読み上げに影響する項目を取り上げました。NVDAは活発に更新が行われており、Webサイトを効率よく快適に閲覧できるようにするための機能追加や改善も行われています。スクリーンリーダーのユーザーとして、本年はNVDAをはじめとするスクリーンリーダーの動向や周辺情報を定期的に取り上げていきたいと思います。