マイナンバーカードの読み取りによる本人確認の普及への期待

アクセシビリティ・エンジニア 大塚

ここ最近、マイナポイント事業新型コロナワクチン接種証明書アプリでの接種証明書の作成など、行政でのマイナンバーカードの活用が進んでいます。

こうした行政における活用の広がりについてはもちろんなのですが、アクセシビリティの向上という観点から個人的に大きく期待していることがあります。それが、民間の事業者によるスマートフォンでのカードの読み取りによる本人確認手続きの普及です。

現在、インターネットバンキングや決済サービスなどでの本人確認では、運転免許証やマイナンバーカードの画像や顔写真によって本人確認を行うのが一般的です。この方法では、本人確認書類全体が映り込むような画像を撮影したり、顔写真については正面からの画像だけでなく、さまざまな角度から撮影する必要がある場合もあります。このような写真を自力で撮影することは、筆者を含めとくに全盲の視覚障害者にとっては困難であり、これはアクセシビリティに関する問題であるといえるでしょう。

こうした中、マイナンバーカードの読み取りと署名用電子証明書のパスワード(マイナンバーカードの交付の際に設定した6から16桁の英数字)を入力することで、本人確認手続きを行えるサービスが少しづつ増えています。現時点ではメルカリ(アプリでかんたん本人確認とは? - メルカリ スマホでかんたん フリマアプリ)やPayPay(本人確認(eKYC)について - PayPay ヘルプ)での本人確認の際に利用できます。

この方法では、本人確認書類や顔写真を撮影する必要がなく、正確な画像の撮影が困難な視覚障害者にとっては本人確認手続きの時間を大幅に短縮することができます。また、画像を使った本人確認のように、事業者側での人力による確認作業が必要なくなるため、手続きそのものの時間も大きく短縮されると考えられます。

現状、マイナンバーカードの読み取りによる本人確認が利用できるサービスは限られていますが、利用できるサービスが増加し、本人確認が必要なサービスのアクセシビリティに関する1つの大きな問題が解消されることに期待したいです。