WAI-ARIA 1.3の初回公開作業草案が発行
アクセシビリティ・エンジニア 中村(直)個人的にはもっと先になるのではと思っていたのですが、W3Cのニュースにあるように、WAI-ARIA 1.3のFirst Public Working Draft(初回公開作業草案)が発行されました。
さっそくですが、WAI-ARIA 1.2からの変更点を眺めていきましょう。
Change LogのMajor feature in this releaseのセクションでは、comment、mark、suggestionという3つのロールが追加されたことがわかります。また、aria-*属性はaria-braillelabel、aria-brailleroledescription、aria-descriptionという3つが追加されているのがわかります。さらに、aria-details属性が複数の要素と関連付けることが可能になったとあります。
追加された3つのロールは、ARIA annotationsと呼ばれる、編集提案やコメントのためのロールです。詳細については、MDNのARIA annotationsが詳しいです。
aria-braillelabel、aria-brailleroledescriptionはそれぞれ、aria-label、aria-roledescriptionの点字バージョンの属性です。aria-descriptionは、aria-labelのアクセシブルな説明(accsecible description)バージョンの属性です。WAI-ARIA 1.2ではaria-labelledbyとaria-describedby、そしてaria-labelが既に定義されていたわけですが、今回の更新でaria-descriptionが定義されるようになりました。aria-descriptionがこれまでなかったのはいわれてみると不思議ではあります。
その他の変更点としては、Substantive changes since ARIA 1.2のセクションで実に95もの項目が挙げられており、数が多すぎてわかりにくいのですが、パッと目に付いた変更点を挙げてみますと、
imageロールがimgロールの同義語として導入されました。ARIAロールのほとんどが省略されていない単語からできており、誤ってimageを指定する可能性があります。imageを指定した場合でもimgロールに解釈されるようになります。(#1370)- Required Owned ElementsをAllowed Accessibility Child Rolesに、Required Context RoleをRequired Accessibility Parent Roleに変更しています。大雑把ではありますが親子関係を連想しやすくなったといえます。(#1454)
aria-levelに関する注記が追加されています。HTMLが見出しレベル6までであることから、6までは問題なくサポートされる一方で、ほとんどの実装はレベル9までサポートしていることに言及しています。これはMS Wordが見出しレベル9まで設定できたと記憶しており、そのことが関係すると理解しています。(#1873)- Change Logになぜか記載がされていないのですが、
aria-rowindextext属性とaria-colindextextが追加されています。(#994)これは、スプレッドシートのようにA列、B列というような情報の設定を可能にします。 - こちらもChange Logに記載はされていませんが、単語mayが整理されています。(#1901)RFC 2119キーワードではない箇所で紛らわしいことから、mightやcanに置き換えがされています。
目に付いたものをざっくりと挙げてみましたが、細かな箇所の変更も多数見て取れ、差分を取ってじっくり見てみるのがよいのかもしれません。