W3C発行のHTMLがすべて廃止された日

アクセシビリティ・エンジニア 中村(直)

先月末の話ですが、HTML Review Draft -- Published 29 January 2020 is a W3C Recommendation | W3C Newsにあるとおり、WHATWGにあるHTML Review Draftが2021年1月29日付けでW3C Recommendation(勧告)となりました。これにより、W3CにあるすべてのHTMLとその関連仕様はSuperseded RecommendationまたはWorking Group Noteのステータスとなり、HTML Standardに取って代えられる、平たく言ってしまうと廃止されました。

これにより、有効なHTML仕様は名実ともにHTML Standardのみとなりました。

さて、振り返る意味で、これまでW3C勧告だった主要なHTML仕様を勧告となった日と廃止された日、勧告から廃止までの日数を表にまとめてみました。

仕様勧告日廃止日有効日数(概算)
HTML 3.21997年1月14日2018年3月15日21年と2カ月
HTML 4.011999年12月24日2018年3月27日18年と3カ月
XHTML 1.0 (Second Edition)2002年8月1日2018年3月27日15年と7カ月
XHTML 1.1 Second Edition2010年11月23日2018年3月27日7年と4カ月
HTML52014年10月28日2018年3月27日3年と4カ月
HTML 5.1 2nd Edition2017年10月3日2021年1月28日3年と3カ月
HTML 5.22017年12月14日2021年1月28日3年と1カ月

あくまで有効日数はW3C仕様の名目上のステータスであり、参考情報にしか過ぎないわけですが、HTML5とそれよりも前に策定された(X)HTML仕様は、2018年3月に一斉に廃止され、HTML Review Draftと入れ替わるタイミングでHTML 5.1とHTML 5.2が同時に廃止されました。Second Editionを含んでいますが、HTML5シリーズがいずれも勧告から3年で廃止されているのは何とも興味深いところではあります。

また、古い話ですが、当時HTML5のEditorを務めていたHixieことIan Hickson氏が2008年に「HTML5の完成は2022年ごろになる」と発言していたことがありました(HTML5の完成は2022年!? | Web標準Blog | ミツエーリンクス)。2012年にW3CとWHATWGのHTMLが分裂[1]し、結局今年になってWHATWG HTMLとして再統合されたわけですが、1つのHTMLに戻ったのが2022年より1年早い今年だったことに、因縁めいたものを感じています。

とはいえ、HTMLが再び1つになったことがすなわちHTMLの完成を意味しているわけではありません。詳細についてはここでは触れませんが、W3C HTMLとWHATWG HTMLで食い違いがあったものについて、完全に決着が付いていないものもissueの中にはあります。そのようなissueについてどのように決着が付くのか、引き続き見守っていきたいと思っています。

[1]: 運営メモ: WHATWG の HTML Living Standard と W3C の HTML5 仕様との関係についての最新情報 | Mozilla Developer Street (modest)