MDN日本語版の覚え書き

アクセシビリティ・エンジニア 中村(直)

Web技術にまつわるさまざまなドキュメンテーションが集約されているMDN Web Docs(以下MDN)にお世話になっている方が多いと思います(筆者もその1人です)が、このBlog記事の執筆時点でそのMDNの日本語版の編集ができない状況であることをご存じでしょうか。

最近のMDN関連の話題としては、昨年夏にMozillaが新型コロナウイルスに端を発した財政状況の悪化からMDNのスタッフを含む大規模な解雇を行ったこと、今年に入ってMDNの支援を行うことを1つの目的とするOpen Web Docsの設立の話題をご存じの方もいるかと思います(ウェブプラットフォームのドキュメンテーションを支援する「Open Web Docs」立ち上げ--MSやグーグルら - CNET Japan

それとは別に、運用システムの観点からは、MDNはこれまで長らくKumaと呼ばれるWikiベースのシステムで運用されてきました。しかしWikiベースのシステムの維持が困難になったことから、Yariと呼ばれるGitHubベースのシステムに昨年12月に移行しました。(Welcome Yari: MDN Web Docs has a new platform - Mozilla Hacks - the Web developer blog)これと前後して、システムの切り替えに伴い、日本語版だけでなくすべての翻訳版の編集が凍結されているというのが端的な現在の状況となっています。(An update on MDN Web Docs' localization strategy - Mozilla Hacks - the Web developer blog

そんな中、MDN localization update, February 2021と題したMDNの翻訳版に関する近況報告が今月に行われました。この記事では大きく2つのことが記載されています。

1つはURLに関するものです。これまでのKumaでは、英語版の記事を日本語化する際に、URLの一部さえも翻訳できる状況にありました。例えば「Publishing your website」というタイトルの記事の英語版と日本語版のURLを比較すると、

このようにURLの末尾が日本語化されていることがわかると思います。しかしこれはリソースの管理という側面からは一貫性を保つことが難しくなります。具体的にはある英語版に対して日本語版が複数存在する、また英語版が削除されてしまったにもかかわらず、日本語版が存在する(言い換えると孤立した日本語版がある)ことが可能性としてあるわけです。(Mozilla Hacksの記事では英語版とフランス語版の比較を行っています。)こうしたことを解消すべく、URLの正規化を行うとのことです。

もう1つは翻訳版の記事がメンテナンスされているかどうかを特定するというものです。典型的なMDNの翻訳作業としては、日英の両方に記事があることを前提とすると、もとになる英語版の更新箇所を特定して、その差分を日本語に翻訳していくことになります。しかし、日本語版がメンテナンスされていないとその差分が膨れ上がることになります。そのようなメンテナンスされていない既存の記事は更新するよりも、最初から翻訳する方が効率がよいと考えられます。

古い記事の特徴としては例えばサイドバーがなかったり、ブラウザーの互換性テーブルが欠けていたりすることが挙げられますが、こういったものは自動的に検出できます。その自動的に検出した「メンテナンスされていない」記事をカウントしたところ、おおよそ3割の記事が該当するとのことです(どの言語に対してなのかは明言されてませんが)。

肝心の日本語版の編集再開時期については、URLの正規化作業を経た上で3月初めになる見込みとのことです。新しいシステム上でMDN日本語版に貢献できるようになる日は近いようです。