まず「マスタービュー」を作成、その次に「複製ビュー」を作りましょう
アナリスト 深堀Google アナリティクスはひとつのプロパティに対し、最大25個までビューを追加することができます。統合解析用のビューを作成したり、クロスドメイントラッキングを行っている場合はサブドメインやドメインごとのビューを、フォルダごとのアクセスを手軽に見たい、といったケースであればフォルダ単位のフィルタをかけたビューを作成します。計測範囲の切り分けを行う場合は、特定のアクセスを除外、もしくは一致させるためのフィルタを作成しなければなりません。
一度フィルタリングされたデータは二度と戻ってこない
フィルタはビューの構成によっては必須項目ともいえる機能であり便利なものですが、慎重に扱わなければなりません。Google アナリティクスでは一度フィルタが適用されたデータは、フィルタが適用される前の情報に戻すことができません。Google アナリティクスで利用できるデータはローデータではなくフィルタリング済のデータであり、いったんフィルタで除外したデータは物理的に存在しなくなってしまいます。とはいえフィルタをまったく適用していないビューをマスターとする訳にもいきません。ビジネスに直結する精緻なデータを計測するためには社内、関係者、関連会社からのアクセスを除外するなど、本来のサイト利用者のデータだけを蓄積することが肝要です。そこでまず普段の解析に利用する「マスタービュー」を作成し、その次にマスタービューを複製してフィルタ構成のみを変更したビューをひとつないし複数作成しておくことをおすすめします。複製するビューの目的には、たとえば「バックアップ用」「テスト確認用」といったものが考えられます。
バックアップ用のビュー
計測指定範囲に対して一致も除外もしていないビューをサイトの稼働・計測開始の初期段階で作成し、マスタービューと並行稼働させておくことで他のビューでの意図せぬフィルタの動作や設定ミス等で失われたデータをそのビューから取り戻すことができるようになります。もしその作業を行う場合にはデータのエクスポートや加工等、手作業は発生するかもしれませんが、バックアップを作っておかないと欠損したデータがもうどこにも存在せずにお手上げ、というリスクが高まります。
テスト確認用としてのビュー
複製ビューには関係者除外フィルタなどの指定したIPアドレスからのアクセスを除外するフィルタを適用しないようにしておけば、PVやイベント計測、コンバージョン計測が正しく機能しているか?といったテストを本番環境ではなく自社内、関係者環境下からのアクセスで行うことができるようになります。マスタービューからはアクセス記録自体がフィルタリングされている状態なので、マスターデータへの蓄積は気にせずテストに使用できます。
このようにマスタービューだけではなく目的に応じた複製ビューを作っておくことは、サイト開発中、サイト公開後の運用中ともにさまざまな場面で役立ちます。冒頭でGoogle アナリティクスのビューは1プロパティにつき最大25個までと触れましたが、通常版の利用者であれば現時点ですでにひっ迫しているケースはそれほど多くないと思います。新しい拡張機能の実装を行う際や、サイトのディレクトリ構造が変わるようなリニューアルを行う際など、サイト運用の過程においては解析側もさまざまなメンテナンス作業を行わなければならないケースが発生します。定常的に閲覧するためのメインビュービュー以外にも、テスト用やローデータを参照できるようなバックアップ用のビューを、転ばぬ先の杖としてあらかじめ作成しておくと万全です。
参考:アナリティクス ヘルプ フィルタを確認する
https://support.google.com/analytics/answer/6046990?hl=ja