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WebマーケティングPDCA

2005年7月22日

営業グループ プランナー
棚橋 弘季

前回のコラムでは、「ブランド・マネジメントの仕組みをつくる」と題して、Webブランディングにおけるマネジメント手法として、PDCAサイクルをベースにした方法を紹介しました。あらゆるマネジメント・システムにおいて根幹となるPDCAサイクルは、Webブランディングを計画・実行していく上でも欠かせない仕組みです。そして、これはWebマーケティングを実践していく上でも同じくらい重要なものです。PDCAサイクルによって継続的な改善を目指す仕組みがなければ、Webマーケティングの成功は望めません。今回は、WebマーケティングPDCAと題して、WebマーケティングにおいてなぜPDCAサイクルに着目する必要があるのか、また、具体的にどのような形でWebマーケティングPDCAをまわしていけばいいのかについて触れてみたいと思います。

Webサイトリニューアルだけでは期待する効果は望めない

WebマーケティングにおいてもPDCAサイクルは必要不可欠なものです。しかし、これまではその必要性がそれほど取り沙汰されることはありませんでした。それはなぜか? これまでのWebサイトの改善といえば、Webリニューアルが唯一絶対の解のように信じられていた傾向があったからだと思います。
確かに、サイトリニューアルのような限られた期間で短期的に動くものであれば、一時的にリニューアルプロジェクトを組織して、それなりのプロジェクトマネジメントを行えば問題はないでしょう。しかし、Webマーケティングの成功をもたらすのは、リニューアルというスポット的な施策の実施ではないことはすでに明白です。Webサイトを通じて効果を上げようとすれば、継続的・恒常的な活動によって、(潜在顧客を含む)顧客との関係性を、機会・価値・信頼の3つの側面でいかにして築き、維持し、縮めていけるかどうかがスポット的なリニューアル以上の意味を持ちます。
実際、リニューアルでWebサイトに何も手を加えなければ、顧客との関係性を構築・維持し続けることはできないはずです。Webサイトのアクセス数を右肩上がりに上げ続けたり、それにともなう形で、Webサイトを通じた自社のブランド・パーセプション(顧客がブランドをどう見ているかということ)を高めたり、より具体的な顧客の購買アクション数(オンライン購入、問い合わせ、資料請求etc.)を向上し続けるには、顧客に対する継続的なコミュニケーション、機能面・ユーザビリティ面の改善などの継続的な見直しがなければ、期待する効果は望めません。

WebマーケティングPDCAの必要性

結局のところ、アクセス数であろうと、問い合わせ数であろうと、ブランド・パーセプションを数値化したものであろうと、恒常的な右肩上がりの数字の伸びを期待するのであれば、常に「現状の事実」を把握しながら「本来あるべき姿」とのギャップを測り、そのギャップを埋めるための計画〜実行〜測定〜コントロールのPDCAサイクルをまわし続けていくしかありません。(参考:サービス「コンサルティング」)
それは本来のビジネス活動における営業活動でも同じことでしょう。単に前年の売上額を何倍化しただけの根拠のない期待値としかいえない売り上げ目標額を目指して、闇雲に営業活動を行ったとしても、なかなかうまくはいかないはずです。それよりも現状の数値と現状の課題を明確にした上で、優先度の高いセグメントの顧客層をターゲットに然るべき改善を行うことで、どれだけの数字の改善が期待できるかを考慮した営業戦略を立てた上で営業活動を実践したならば、はるかに効率的、計画的に売り上げ目標を達成できるはずです。
Webマーケティングにおいても、まったく同じです。単に何年かに1回、Webサイトリニューアルと称して、若干のユーザビリティ改善と若干のコンテンツ見直しを含む、デザインリニューアルを行ったところで、期待する効果が望めるはずもありません。そうではなく、もっと短いスパン(ずばり最低でも1ヵ月ごと!)でPDCAサイクルをまわす発想に変えていかない限り、いつまで経っても、Webサイトをビジネスにおける重要な成果をもたらすマーケティング・ツールに位置づけていくことはむずかしいでしょう。

WebマーケティングPDCAサイクル

「計画」・・・計画は完璧な設計図ではなく、今後の活動の方向性を示し、目安となるもの

それでは、どうしたらWebマーケティングPDCAをまわしていくことが可能になるのでしょうか?それにはまずWebマーケティング計画を立てることが必要です。計画は「戦略」「人(タスク)」「組織」という3つの視点を踏まえた上で、「何を」「いつ」「誰に対して」行うかを考えていく必要があります。年間のコンテンツ運用計画を立てる上でも、コンテンツの目的、ターゲット、公開スケジュールなどを決めるだけでなく、そうしたコンテンツ運用計画が「戦略」に見合ったものか、実際にどんな「人」が必要で、誰がどの「タスク」を担うのか、タスク間の作業フローを効率化する「組織」としてどのよう体制、プロセスが必要になるかを計画段階で明確にしておくことが、スムーズにPDCAサイクルをまわす前提になります。
また、計画といっても最初に立てた計画を闇雲に遂行していく類のものではありません。計画は完璧な設計図ではなく、マーケティング施策の方向性を示すものです。計画はあくまで最初の目安であり、実行・測定を経ながら課題が見つかれば短いスパンで見直し=コントロールしていくことが重要です。
計画を立てる際には、必ず「現状の事実」を把握した上で「本来あるべき姿」とのギャップを埋めるべく計画を立てるのですが、そうはいっても最初に捉えられる「現状の事実」はあくまで限定されたものであり、そこから導かれる顧客に関する仮説はあくまで初期仮説でしかありません。マーケティングPDCAが有効なのは、まさに計画を実行、測定しながら、最初の初期仮説を実行・測定によってさらに検証しながら仮説のブラッシュアップを行うことで、顧客との距離感を徐々に縮めていくことが可能な点です。

「実行」・・・正確さとスピードが実行段階の最重要ポイント

実行において重要なことは、正確さとスピードです。計画した施策をいかにして計画の意図を損なうことなく正確に、かつ計画通りスピーディーに進められるかといった、ディレクター、制作担当の腕が問われるところです。正確さを求めすぎるばかりにスピード感を失ったり、その逆に、スピードを優先しすぎて計画とはまるで異なる内容を実行してもいけません。そのためにも計画段階でしっかりと施策の目的、方向性を明確にした上で、関係者全員でそれを共有しておくことが重要です。
実行を正確かつスピーディーにするためには、当然、Webマーケティングの実行に関わるディレクター、制作担当者には、SEO対策、ユーザビリティ設計、コンテンツ企画力・編集力、ユーザー導線を最適化するための情報設計力、ビジュアル・デザインに関する提案力など、Webマーケティングを実践する上で必要とされるスキル・ノウハウを有している必要があります。また、それらを適切な形で組み合わせられる力が求められます。さらには、クライアント企業のビジネスとビジネス・ターゲットである顧客の理解を中心にしたマーケティング戦略に関する理解も必要ですし、そうした理解を得るために積極的にクライアント担当者とのコミュニケーションを重ねていくコミュニケーション・スキルが何より重要な要素となります。

「測定」・・・常に現状の事実を見つめること

マーケティングにおいて何より重要な要素は、顧客を知ることです。WebマーケティングPDCAの実践が企業側の独断にならないためには、顧客の視点で常に実行した施策が顧客の興味をひいたかどうか、顧客の獲得や理解向上につながったかを定期的に測定していくことが重要です。
測定の中心になるのはアクセスログ解析です。Webサイトにおいては、ユーザーの閲覧行動はすべてアクセスログに事実として記録されます。このアクセスログの解析を行うことで、ユーザーがどんなキーワードでWebサイトを訪れたか、どんなコンテンツが興味をもって閲覧されているか、どういう経路を辿って購買アクションを行っているかなどを把握することができ、また、その事実を元に次の改善のヒントが導き出せるはずです。このアクセスログ解析にあわせてユーザーアンケートなどを組み合わせれば、ユーザーのオンラインでの活動(Webサイト閲覧行動)とオフラインでの活動(リアルでの購買行動や意識)のギャップなども測ることができ、さらにユーザーを知る上でのヒントになるでしょう。
また、3C分析という言葉があるように、競合他社の動向も自社のマーケティングに影響を与える要素の1つですので、競合サイトのWebマーケティング的な視点での調査を定期的に行うことも必要でしょう。

Webマーケティングのコントロール

さて、こうした計画〜実行〜測定のプロセスを1ヵ月単位のスパンでまわしていくためには、携わる人の合意、意識の共有、モチベーションの維持のためにも、コントロールのための仕組みとして定期的なミーティング(Web編集会議、Web販促会議)などを実施していくことが有効です。
ミーティングのアジェンダの例としては、先月の効果測定レポートの報告(アクセスログ解析、メールマガジン効果測定、ユーザーアンケート結果、売り上げ結果報告etc.)、今月の施策の最終進捗確認、来月の施策の進捗状況および内容の確認、再来月以降の施策のアイデアやテーマの決定といった形で、過去・現在・未来の3つの視点でWebマーケティング施策について意見を交わしながら、実行しているWebマーケティング施策が本来の目的である顧客との関係性の構築・維持に貢献しているかを常に確認しておくことが重要です。

実践!Webマーケティング:Blog

ここまでWebマーケティングPDCAに関する概要をご紹介してきましたが、具体的な手法や進め方、重要なポイントなどについては週2回(火曜日と金曜日)更新を行っている「実践!Webマーケティング:Blog」のほうで紹介していきたいと思っています。ぜひ興味のある方はご覧ください。

また、こうしたWebマーケティングPDCAの考え方を中心にした、お客様のWebマーケティングをサポートするWebマーケティング・コンサルティングサービスに関しては、これからもより一層、力を入れさせていただき、サービスの改善、新サービスの開発を行っています。ぜひ、ご期待ください。