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CSR活動の進め方

2005年9月9日

MS本部
山下 徹治

弊社ではISO9001(品質管理の国際規格)、ISO14001(環境管理システムの国際規格)、ISMS(情報セキュリティ管理の適合性評価制度)、プライバシーマークという計4つのマネジメントシステムについて認証を取得しています。そのうち、ISO9001とISO14001、ISMSの維持審査が先々週から先週にかけてあり、タフな2週間でした。結果はISO9001とISO14001でマイナー指摘事項がそれぞれ1つ。ISMSは指摘事項なしでした。またそれぞれの審査でオブザベーション(観察事項)をいくつかいただき、今後の改善活動のヒントとなりました。

先週はさらに日本品質管理学会で「企業の社会的責任(CSR)を考える」というシンポジウムがあり、私は講師として招かれ事例発表とパネルディスカッションに参加しました。マネジメントシステムの審査でもまだまだ指摘をいただくような弊社がこのような場に立たせていただくのはなんともくすぐったいような気持ちです。

いざシンポジウムに参加してみると、CSRの歴史的背景や現在向かっている方向性、現在進められているISO化の動向など個人的に知りたかった話を伺うことができ一参加者として勉強になりました。また、私たちが目標にするようなCSRのリーディングカンパニーですらまだまだ課題を抱えながら一歩一歩前進しようと努力を続けられていることを知り、たいへん勇気付けられました。

前置きが長くなってしまいましたが、今回のコラムは、企業のCSR活動の進め方に関する一考察ということで読み進んでいただければ幸いです。

CSRというキーワードが頻繁に出てくるようになったのは2003年頃でした。ちょうど企業不祥事が度重なりマスコミを賑わせたこともあり、CSR(企業の社会的責任)の取り組みはコンプライアンスや企業モラル重視の活動全体を指すような暗いイメージがありました。確かにコンプライアンスを無視し、反社会的な企業活動が一旦表面化すると取り返しのつかないことになるのは事実ですので、企業は社会性を持ち、透明性を保つ努力を続けるべきだとは思います。でも、そうした活動こそがCSR活動だという潮流には私は違和感がありました。

そんなとき、あるWebサイトで、銅像で有名な江戸時代の農政学者である二宮尊徳の「道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である」という言葉を見つけました。この名言を見た瞬間に私の違和感は解消されました。「そう。これが言いたかった」という感じです。CSR活動というものは、企業モラルを高め自浄作用の働く組織になることと、収益を高めることの両側面を達成することが目指すべきゴールと言えるのではないでしょうか。そうでなければ企業が膨大なコストをかけて活動する大義名分にはなり得ないと思うのです。

では、CSRで収益を高めるとはどういうことでしょうか。一般的には収益を上げるためには売上げを上げるかコストを下げるしかないわけです。でもCSR的に考えた場合、売上げが上がって顧客は大満足でも従業員には不平不満がつきないような仕組みではダメですし、コストを下げても仕入先が泣くだけのような仕組みではダメということです。

企業には多くのステークホルダーがいます。株主、顧客、従業員、仕入先、地球環境などなど。こうしたステークホルダーのうち、できるだけ多くの(少なくとも2つ以上の)ステークホルダーにとって利益があり、その結果企業も利益が上がるような仕組みを考えたり、またはサービスを開発したりすることがCSRで収益を高める活動と言えると思います。

最近のニュースを例に挙げると、ある運輸会社が、宅配時に受取人が留守の場合に受取人にすぐにメールが届き、再配送の指示ができるサービスを開発しました。このサービスにより、未配送の荷物の4割が当日中に配送できる見込みがあるそうです。このサービスの優れた点は、顧客、従業員、地球環境という3つのステークホルダーにとってメリットがあるところだと思います。もちろん成功すれば企業も潤います。
このように、複数のステークホルダーに対して価値を提供できるいわば「一挙両得」の仕組みこそが、企業のCSR活動の目指すところだというのが私の考えです。

ただ、いきなり収益向上の攻めのCSR活動を推進したとしても上手くいく可能性は低いかもしれません。あるステークホルダーの満足度を満たそうと活動を開始すると、まず目に付くのは自社のまずさです。現状満足を提供できていない現実がどうしてもクローズアップされてきます。そうしたマイナス面をまずは排除しなくてはなりません。守備を固めずに攻めに転じることは負けを意味するからです。少なくとも負けないというレベルまでCSR活動の結果を出さなければなりません。つまりそれがモラルベースのCSR活動ということになります。こうした活動を通じて集められたステークホルダーの声がデータベースとして機能し、活動の精度も上がっていきます。

そこまでくれば準備完了で、次は傍から見たら非常識と思えるほどの活動を展開し始めます。でもその非常識さがCSRでは強力なブランドとなり、また収益を高められるCSR活動のアイディアに結びつくわけです。例えば最近ですとゼロミッション運動というものがあります。工場からゴミを出さないなどということは常識から考えると信じられません。でもそれを達成できている企業が存在します。かくしてその企業は環境に配慮した企業というブランドを得ることができるわけです。今まで環境に対して一通りの活動しかしていない企業にはゼロミッションはまず達成できないでしょう。そこまでの地道な活動の上に成り立つ非常識的=独創的な活動と言えます。

CSR活動というのは基本ゴールのないレースのようなものですが、こう考えると、CSRに取り組もうとしている企業は現在のポジショニングがわかりやすいのではないでしょうか。

なんとなく、自分たちが富士山の何合目ぐらいまで登ったかなというイメージはわくのではないでしょうか。ちなみに、当社もまだまだ独創的な活動まではいけていないなあと思う一方、6〜7合目くらいまでは来ているかなという手ごたえは感じられるようになりました。あともう少し。