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ビジネスBlogの要件

2005年9月16日

デジタルコンテンツグループ
藤田 拓

この1年、Blogシーンはどう変わったか?

昨年8月、まだビジネスBlogという言葉も「耳慣れない」頃、Blogについてのコラムを書かせていただきました。当時日本ではBlogはまだ個人向けばかりで、また弊社としましてもBlogサービスをリリースしたばかりの頃だったためドキュメントや経験も少なく、かなり頭を悩ませた記憶があります。この一年、幸いにもBlogにまつわる案件に幾つか携わらせていただき、その当時と比べると少し(これからのBlogシーンの長さから比べるとまだまだホンの少しですが)Blogを理解する経験もできました。僭越ながらそういった僅かながらの経験も踏まえまして、今回のコラムの筆を進めたいと思います。

冒頭にも触れた通り、昨年夏頃においては「ビジネスBlog」という言葉自体まだまだ未成熟でした。しかし、この1年でBlog関連の本が数々出版され、その中には「ビジネスBlog」というタイトルが入った書籍も出てきました。また、雑誌ではコンピュータ・情報関連のみならず、著名なビジネス雑誌等にも取り上げられるようになり、ビジネスの場であってもその動向に関心がでてきたことが伺われます。また、総務省が「ブログ・SNSの現状分析及び将来予測」と題した予測文書を本年5月に発行し、その未来には大きな市場が開けていることを統計データとしてまとめました。

ビジネスBlogの類型

実際、昨年のリリース後、弊社への問い合わせも徐々に増えていき、「Blogは一過性」という予測をしていた人の期待を少なくともここ1、2年は裏切る結果であると言えるでしょう。その問い合わせの内容は大きく分けると次の3つになります。

会社の誰かがBlogを書く。
いわゆる「社長Blog」や「社員Blog」がこれに当たります。ビジネスシーンにおいては会社とそのステークホルダー(消費者、投資家等)の間に距離感があります。その距離を埋める役割をしつつ、その会社、またはその製品・サービスを記憶に残す役割を果たしてくれます。
Blogホスティング・コミュニティ、またはBlogの編集局を運営する。
何らかのテーマ、主に運営側のビジネスに何らかの関連があるテーマを持たせ、Blogを書く人については一般の方を対象とするという形態です。その会社のビジネス関連キーワードを多くの社外の人が発信してくれます。
BlogをCMSとして利用する。
いわゆる「Blog」としてではなく、Blogの発行機能(記事作成、RSS出力)やフィードバック機能(コメント、トラックバック)を利用し、サイトの一部やサイト全体を構成するタイプです。また、社内用にカスタマイズしてイントラの情報マネジメントに利用するケースもあります。

なぜビジネスに広がってきたか?

ビジネスBlogが増えてきた理由は何よりネットワーク外部性の効果(ネットワーク効果といわれています)に着目してのことでしょう。ネットワーク外部性とは経済学用語で「需要主体の消費決定が、相互利用可能なネットワークの規模の大小を通じて、消費者相互の選好に直接的影響をもたらす技術的外部性」、増大方向に限定してざっくりいってしまうと「ネットワークの利用者が増えるとその利用価値が増大していく」ということになります。明らかに個人のBlogは増えてきました。先ほどの総務省の統計によりますと、Blog利用者(Blogを書く人)は延べ約335万人、純Blog利用者はそのうちの165万人になるそうです。またその閲覧者は1651万人に達します。またその数はBlog利用者・閲覧者ともにこれからも増える傾向にあると書かれています。少なくともネットワーク外部性で見ると、そこには魅力的な市場が広がっているわけです。

また、Blogのフィードバックの双方向性やRSSによる再利用性を使って、消費者の意見や動向を取り入れることができるという一面もあるでしょう。アンケートといった運営側の働きかけが顕在化している情報収集方法ではなく、個々が自然に(少なくともアンケートよりは)発信・発言した内容により消費者の意見を得ることができるため、より良質な情報の取得手段として注目されています。

更に、その機能が使いやすく、また導入しやすいということも普及の一端を担っています。Blogは企業に安価なCMSを提供しはじめています。従来、CMS市場はその普及率が低いこともあってか、かなり高額なものと思われていました。しかし、個人で利用可能なツールがサイトの更新・運営に機能するということがわかってきたため、徐々にサイトの一部や全体にBlogツールを採用しはじめました。この傾向はBlogツール側にも影響を与え、その機能をよりCMSよりにしていく傾向もではじめました。

ビジネスBlogに必要なもの

このようにBlogシーンは盛り上がり、その機能も発展していくことでしょう。しかし、その運営や立ち上げはまだまだ暗中模索ということが多いのではないでしょうか?実際高々数年の市場、ビジネスBlogに至っては更に短いものです。立ち上げてみてわかってきたこというのも多々あると思います。

まずはBlogの運営ポリシーです。最初にフィードバックの扱い、つまりコメント・トラックバックをどう受け付けるか?が話題になります。そのスタンスは未だケースバイケースです。機能面についていうとコメントに「承認機能」がつきました。しかし、この9月現在トラックバックにこの機能をもつものはあまりありません。今まではコメントよりも匿名性が低いと考えられていたトラックバックでしたが、実際はちょっとしたスクリプトで発信することができるため、最近ではトラックバック経由のスパムも増えてきました。
また、コピーライトについても従来の考えが難しくなってきています。なぜならRSSを発行している時点で、その投稿内容が他のサイトに複製・引用される可能性がほぼ100%だからです。つまりBlogを運営している側として「無断転載は禁止します」はナンセンスともいえるのです。実際、この問題は「検索エンジン」においても当てはまっていたのですが、RSSはより再利用の利便性を上げておりその機能についての記述は再考したいところです。

次にBlogの運営体制。これはどのタイプのBlogにおいても必要不可欠です。Blogはその時系列性からもわかるように、立ち上げて魔法のように機能してくれるわけではありません。常に何らかのインパクトを注ぎ込むことはもちろんのこと、定常的に運営をする際にもそれなりのエネルギーが必要になります。例えば、フィードバックは24時間いつでも投げかけられてきます。承認機能があるからと安心するだけではなく、その承認過程の時間を実現可能な範囲でなるべく短く設定することは、メディアのタイプとして必要不可欠といえるでしょう。

また、その記事データの保全の重要性も挙げられます。Blogの利便性のひとつにサーバー側における更新があるでしょう。Blogツールは一般的にローカルにアプリがなく、またあったとしてもBlogクライアントのようにサーバー側のデータを直接変更するようなものです。そのため世界中のどこにいようとBlogの記事を更新することが可能です。しかし、逆に言えばローカルにデータがないため、万が一サーバー側のデータが消えてしまった場合、その復旧はほぼ不可能ということになります。いたって当たり前のことなのですが、ついWebサイトの運営と同様に考えてしまうのでしょうか、意外に見落としがちな点です。また閲覧者からのフィードバックもそのデータの中には含まれるため、その重要度はより大きいといえるでしょう。

最後に

かなり乱暴に書き進めてきてしまいましたが、上記も私のBlog的書き込みととってもらってもいいほどダイレクトに筆を進めてみました。昨年のコラムの際は幾つかの文献等を読み、なんとか文章にしようとしましたが、今回は今日の自分が今までの僅かな経験を基にに淡々と書いた結果です。この文から不十分ながらもビジネスBlogに関わる者からの何らかの「生」の声を汲み取っていただければ幸いです。