2006年1月27日 心の健康 従業員-win ⇒会社-win

CFT本部
坂詰 千恵

2005年11月に心の健康アンケートが1周年を迎えました。OHSAS18001の構築から関わっている私としては感慨深く、継続できたことに満足しています。心の健康はOHSAS18001構築時に、今、妥協して削除してはいけないと一番こだわった部分でした。

OHSAS18001の構築は2003年11月から始まりました。「心と身体の健康」をテーマに労働安全衛生マネジメントシステムを構築すること、2004年10月に運用を開始するよう言われたことが始まりです。それからは試行錯誤の繰り返しでした。OHSAS18001は工場で運用されることが多く、弊社のような業種に適用された例はほとんどありません。死亡に至るような事故が起こらない弊社にとって、何を従業員にとって一番のリスクと評価し、対策を実施するのか。そして、一番の大きな問題は心の健康をどうとらえるか、ということでした。身体の健康というのはまだ誰からもわかりやすいものです。怪我をしている、風邪をひいているなど自分自身も不健康であることがわかります。また、まわりからも大変であることがわかります。けれど、心の健康はなかなか外には見えません。その上、同じ出来事が起きたとしても人によって、ストレスのレベルは違うので一概に影響の大きさを判断できません。しかし、心の健康の問題から身体の健康の問題へ発展し、休職や退職など大きな影響へと発展する高い可能性があります。今後、従業員の心の健康をフォローすることは当たり前となり、今のうちから行う必要が出るだろうと考え、最初の一歩として心の健康アンケートを毎月実施し、全体の傾向を把握することから始めようと考えました。そこで利用したのが旧労働省が作成した「職業性ストレス簡易調査表」です。
質問回答によって、下記の度合いがわかります。

  • 仕事の負担度
  • 仕事のコントロール度
  • 対人関係
  • 仕事適合性
  • 心理的ストレス
  • 身体的ストレス
  • 職場内支援(同僚および上司)
  • 家庭内支援
  • 作業環境
  • 仕事の満足度
  • 家庭満足度

いったんは実施に難色を示した経営層もOKを出してくれ、私が最後までアンケートのフィードバックとしてこだわった半年ごとの全社結果報告に関しても許可が下りました。
毎月、3日間アンケートを実施し、その集計結果に加えて、平均残業時間、病欠数、遅刻数を指標とし、分析を行っています。傾向としてこんな例があります。予想に反して、繁忙期には仕事負担度の要チェック度は増加せず、それ以上に持続的な忙しさが要チェックの増加を生みました。繁忙期は一時的な忙しさ、それを抜けてしまうと余裕が生まれるとわかっていますが、持続的な忙しさはいつ終わると知れないことが負担を感じる原因と考えられます。また、メリットの多かった新社屋への事務所移転で上司とスタッフの席が離れたことと、持続的な忙しさに入ったことから職場内支援の要チェック度が大きくあがりました。席が離れたことにより上司とのコミュニケーションが減り、スタッフ全員が忙しいことからお互いの支援ができない状況にあったことがわかります。その対応として、毎週1回定時後に、お酒と軽食を用意して任意参加のミニパーティを開催しました。今月はその効果もあってか、「上司や同僚と気楽に話ができる」の項目において、「多少」「まったくない」にチェックした人が10%程度減少しました。実施1年を超えたことから、昨年対比を分析することができるようになりました。今後は現象に対して、対策を行うのではなく、今後起こりうる現象を予測して対策を行う予定です。

今後の課題として

今、スタッフに起きていることを分析し、対策をたて全体に実施することは実現できています。しかし、心の健康は前述したとおり個人で大きく異なるものです。今は全体へのフォローはできていますが、セルフチェック機能がなく、心の健康に問題を抱えているスタッフが自分の状況に気づくことができません。また、たとえ問題が発覚したとしても、プライベートな問題なため、会社としてのフォローには限界があります。もちろん会社に相談したくないという場合も多いと思います。そのため、4月からはEAP(Employee Assistance Program)心の健康管理を導入する予定です。年2回のEAPアンケートを実施、問題があれば会社に相談することなく直接専門医に相談することが可能なシステムです。これにより、個別のフィードバック、さらにフォローまでが可能となります。

初心を忘れずに

私が最初にOHSAS18001を理解する際に書いた図に従来の会社-win⇒従業員-winの関係ではなく、OHSAS18001は従業員-win ⇒会社-winの関係であると示しました。経営的に考えれば、それは違うのかもしれません。しかし、従業員が心も身体も健康で生き生きとして働ける環境は、結果として会社のwinにつながる。私はこれが弊社としてのOHSAS18001の形だと信じています。

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