2006年2月10日 Webインタラクションを躍進させるAjax

ミツエーインフォメーションネットワークテクノロジー スクリプトエンジニア
野沢 聡史

昨今のWebには新たな風が吹いていると私は感じます。次々に魅力溢れるWebアプリケーションが誕生しWebとローカルの垣根が取り払われています。同時に注目すべきはWebインタラクションの進歩です。ユーザーアクションに合わせ瞬時にコンテンツを提供する様には、今までにない感動を覚えました。その進歩の原動力となったのは、次世代のWeb技術と呼ばれるものでした。

新たな衝撃

2005年2月18日、Jesse James Garret氏による "Ajax: A New Approach to Web Applications"にて、「Ajax」という言葉が誕生しました。Web アプリケーション開発における新しいアプローチを示した「Google サジェスト」、「Google ローカル」は、私たちに衝撃を与え、Webアプリケーションの進化を明確に感じさせるものでした。

blogWatcherで「Ajax」と検索した注目度(バースト値)から表れているように、AjaxはGarrett氏の投稿から一気に注目度を集め私たち開発者を虜にし、そしてAjaxは言葉の新鮮さだけではなくWebの新たな可能性を示したのです。

しかし、Ajaxは新しい技術ではありません。Document Object ModelによるHTMLへのアクセス、XMLHttpRequestによる非同期のサーバへのアクセス、そして2つのアクセスの舵をとるJavaScript。これら3つの技術を組み合わせたのがAjaxです。成熟された技術同士が、新しい手法で共存し新しい力を発揮する。これまでの新技術の誕生経緯にはなかったこともAjaxを魅力づける要因の1つではないでしょうか。

Ajaxがもたらすもの

Ajaxの技術によって、ページが入れ替わることなくコンテンツを変化させることが可能になりました。これによりユーザーを待たせることなくコンテンツを提供することができます。この体験は、まさにデスクトップアプリケーションへと近づいています。デスクトップアプリケーションではページが入れ替わることなく、次から次へとユーザーの要求に応答し、アプリケーションを展開します。

Webアプリケーションがデスクトップアプリケーションとの境界線を打ち破るとユーザーには何が与えられるでしょうか。それはデスクトップアプリケーションでしか実現されなかった快適な操作性、ユーザーとアプリケーションとの豊かな対話です。まさにAjaxの魅力はそこにあるといえます。

Ajaxの最大の魅力は、豊かな操作性の提供です。ユーザーアクションをトリガーとしてAjaxがエンジンとなり、ページを変えることなくデータを先読みしてユーザーへ提供します。それは、デスクトップアプリケーションの操作性と代わり映えしない体験がWeb アプリケーションで実現されます。つまり、ユーザーとアプリケーションの対話の部分であるインタラクションが充実することへとつながるのです。AjaxはユーザーとWebアプリケーションの間に立ち、両者の対話を豊かにしWebインタラクションが躍進していく原動力となっていくのです。

「AjaxNAVI」サービス

弊社が提供する「AjaxNAVI」は、ユーザーの登録ページや情報検索ページなどのインタラクションにスポットを当てています。ユーザーがサーバ上の大量なデータから選択する際でも、画面推移することなく目的のデータへと誘導できるリッチなナビゲーション機能を実現します。これまで複数ページを経由することでしか実現できなかったコンテンツを、シームレスな画面遷移のない形で実現することでユーザーが受けるコンテンツの印象も特別なものとなります。

しかし、画面の推移を感じることなくスムーズにデータを提供できるメリットの反面、ユーザーが何を提供されているのか、つまり現在のユーザーの状態を見失ってしまうことへとつながります。これを回避するためにも、ユーザーの状態を明確に知らせるデザインが必要となってくるのです。Ajaxは単体で便利に動作する技術ではありません。ユーザーとの対話がうまくなったとしても、ユーザーとのつながりがなければ、その対話は成立しないのです。つまり、Webインタラクションが充実した先には、それをつなげるWebデザインもまた充実したものにしていかなければならないのです。

「AjaxNAVI」はWebコンテンツをデスクトップアプリケーションの快適性や対応の豊かさに近づけることを目指しています。ユーザーを待たせることなく目的のデータまでの道のりをAjaxエンジンがつなげ、情報の明確な伝達方法を提供します。

AjaxとFLASH

AjaxとFLASHは比べるまでもなく別の技術ですが、Ajaxで実装されたコンテンツなどを見た場合、しばしばFLASHコンテンツを連想される方も少なからずいるのではないでしょうか。両者を比べ優越をつけることに意味はないことかもしれません。しかし、両者の力を発揮させる場を認識することはとても重要なことです。

AjaxとFLASHの大きな違いはHTMLとSWFの最終的なファイル形式です。Ajaxは、HTMLへ直接アクセスするため、HTMLのどこへでもAjaxの力を発揮することができるのに対し、FLASHはあらかじめ表示される領域を決めなくてはいけません。また、FLASHは滑らかなグラフィックアニメーションを表現できるのに対し、AjaxはFLASH程の滑らかなアニメーション技術を実現することはできません。両者はお互いの優れた技術を超えることはないのです。両者に共通していることは、インタラクションを向上させる力があるということ、そしてユーザーの体験を豊かなものにするということです。適材適所に両者を利用し、時には共存させることがこれからのインタラクティブなWebサイトに必要となってくるのです。

最後に

Ajaxは次世代の技術と呼ばれていますが、古くからある技術を組み合わせて生まれた古くて新しい技術です。私はAjaxの誕生経緯を忘れずにいたいと思います。常に興味や関心を持ち続けることで見えなかった部分が見えるようになり、それが積み重なりひとつの大きな力、技術となるのです。AjaxはWebの可能性を再認識させてくれる技術となりました。

2006年2月1日、IBM等の大手の主導でオープンソースを通じてAjaxの普及促進を目指すプロジェクト「Open Ajax」が発表されました。Ajaxの技術はまだまだ成長を続け、Web全体を盛り上げていくことは間違いないようです。

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