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Web標準準拠による実装のポイント

2006年2月17日

デジタルコンテンツグループ
石川 奈美

Web標準という言葉を聞き慣れている方も多いと思いますが、Web標準とは、World Wide Web上で標準的に利用される技術を指し、その仕様はW3CISOによって策定されています。
最近では、Webブラウザやオーサーリングツールの進歩にともない、サイトを構築するうえでWeb標準に準拠することの価値が見直されるようになりました。また実際にそうしたサイトの普及が進んでいます。
このWeb標準準拠によるコンテンツ実装の大きな特徴は、文書構造と視覚表現を分離し、文書の意味的構造を明確にすることであり、それにより多くのメリットを享受することができます。
しかし、Web標準に準拠したサイト構築の手法は従来のテーブルレイアウトのそれと大きく異なるため、作業工程の変更や、Webサイトの品質の維持に関しての工夫などが必要になります。

実装前の設計の重要性

情報の設計

Web標準に準拠したサイトの構築では、どの情報が見出しでどの情報が段落か(あるいはリストか)など、文書の構造を(X)HTMLを用いて適切に示すことが求められます。
しかし、単体としての(X)HTML文書内でのみ構造が妥当であればよいというわけではありません。
というのも、サイト全体がひとつのまとまった文書と考えられ、それぞれの(X)HTML文書は相互に意味的なつながりを持っているからです。
このことは当然サイトを構築する際のワークフローにも大きな関わりをもちます。
弊社のWeb標準準拠によるサイト構築のワークフローには(X)HTMLコーディング、CSSコーディングの前に情報を設計する工程が組み込まれています。
そこでは、文書内の各情報要素とマークアップの際に使用する要素の種類の紐付けのみならず、サイト全体における位置づけを考え、厳密な情報の設計が行われます。
この実装(個々の文書のマークアップ)に入る前の情報設計は、サイト全体としての文書構造の妥当性や統一性を得るのにとても重要な工程であり、それはユーザビリティの向上へもつながります。

スタイルシートの設計

Webサイトの視覚表現を制御するWeb標準として、一般的にはスタイルシートが用いられます。
Web標準準拠による実装の特徴として、文書構造と視覚表現の分離を挙げましたが、スタイルシートの設計を文書構造と「完全に」切り離して考えるのは必ずしも良い方法とは言えません。
それは、スタイルシートによる視覚表現の操作性を考えると、文書構造とスタイルシートの意味的な関係性を維持したほうが、スタイルシートによるレイアウトのメリットをより享受することができるからです。
そのため、スタイルシートを設計する際にサイトの情報構造を把握することは必要不可欠です。
また、情報構造を把握する以外にもその情報がどのように更新されていくのかということも視野に入れる必要があります。
更新の度に新たにスタイルを追加するのでは、更新性の悪いサイトになってしまうからです。

品質の維持、お客様とのコミュニケーション

さまざまなプロジェクトに関わらせていただいて、更新されるコンテンツの品質の維持の難しさを強く感じています。
頻度や作業量の多寡に関わらず、他の制作者が作成したファイルに手を加えるのは誰にとっても難しく、時に厄介な作業だと思います。
しかし、必ずしもサイト構築時に関わった制作者が更新作業に携われるというわけではなく、むしろお客様や他業者様が担当されるケースの方が多いように思われます。
それではどのようにして品質を維持していけばよいのでしょうか。

文書構造の品質の維持について考えてみますと、サイト構築時にはまず情報の設計が行われます。
その中で方針が決められ、文書構造が考えられます。この方針をサイト構築者の間だけで認識し、更新を担当される方に伝達できないのであれば、品質を維持することは困難であると考えます。
しかし、どのようにしたら方針を共有することができるのでしょうか。構造の複雑なサイトの方針を伝えることは容易なことではありません。
それにはやはり情報設計の段階から、どのような経緯で方針が立てられ、どのように文書構造が設計されたか等について、お客様あるいは更新を担当される方との密な情報のやり取りが必要ではないでしょうか。そうすることでお客様のWebサイトに対する理解が深まり、より納得していただける品質をご納品できると信じます。

スタイルシートによるレイアウト実装の面から考えますと、弊社では既に実践しておりますが、スタイルシートを解説したドキュメントのご提供やセミナー等の開催などにより、お客様のWeb標準への理解を深める必要があると考えます。
また設計の段階において、分かりにくいところはないか、更新のしやすさに問題はないかなど、直接更新を担当される方へ確認を行なうことも有効な手段ではないでしょうか。

Webサイトの品質の維持は、私たち技術者に課せられた重要な課題です。より良い方法を模索し提案し続けることは私たちの使命であると考えます。