2008年9月26日 ターゲットユーザー像を具体的に持つということ

プロデューサー
岡田 貴彦

ちょうど一年前のコラム「ウェブサイトに関するアンケート調査報告書」から見るアウトソーシングの方向性の最後で、下記のようにまとめました。

ターゲットユーザー像を具体的に持つということ

ターゲットユーザー像の明確化には、社内でのインタビューに加え、想定ユーザー層へのユーザーインタビュー/テスト、ペルソナ構築など、もう一歩踏み込んだ作業が必要になっていきます。いわゆるユーザー中心設計の方向へと企業側も舵を切っていくことが必然となってきそうです。

これは、企業サイトに関するアンケート調査からの考察だったわけですが、ユーザー像を明確にし、求められるコンテンツを提供し、ユーザビリティを高めるということに対しての要望は日増しに高まりつつあるようです。

ターゲットユーザーを明らかにするには

ターゲットユーザーを明らかにするには、いくつかの手段を複合的に実施する必要があります。

企業側が想定するユーザー像の明確化
  • リアルなビジネスにおけるターゲットユーザーの明確化
  • 各部門・各コンテンツオーナーが想定するユーザー像の明確化と共有
実際/想定のユーザーが求めることの具体化
  • サイトにおける既存ユーザーの行動把握によるユーザーのセグメント化とプライオリティ付け
  • オンライン・アンケート実施によるユーザー・ニーズと特性の把握
  • ユーザーインタビューの実施による想定ユーザー特性の具体化

これらを実施しながら、途中に仮説・検証を繰り返し、ターゲットユーザー像を設定・共有していくこととなります。

確かにユーザーの声を聞くことは大切だけれども

ここでは各々の調査方法については言及しませんが、ユーザー像を明確にすることは確かに重要です。また、ユーザー視点でサイトを開発・改善していくことも重要です。使いやすさや求める情報について、多くの示唆が得られます。ただし、最終的に、「誰に」見てもらいたいか、また「何を」見せたいかの最終的な判断は、企業側が行なわなければなりません。

サイトは企業活動のダッシュボード

いわゆる企業サイトは、企業活動・マーケティング活動、コーポレート・コミュニケーションのダッシュボード的存在です。マルチステークホルダーに対して、さまざまなコンテンツを提供し、さまざまなコミュニケーションを実施しなければなりません。また、その管轄部署は多岐にわたり、社内調整にも想像以上の負荷がかかることは想像に難くありません。であればこそ、企業サイトは、企業の戦略に従うものであるはずです。

ユーザー像を明確にすることで「自分たちがなにものであるか」を明らかに

情報の受け手であるユーザーを明確にすることは、自分たちがどのようにビジネスを実施し、どのようにコミュニケーションを行なっていくかを明らかにする作業となるため、企業としてのメッセージ、ブランド、テーマといったものを掘り下げる必要が発生します。Webサイトの重要性が高まってきたからこそ、企業の戦略を明らかにし、Webの戦略に転化することが求められるわけです。

ユーザビリティとコンテンツの関係性

ユーザー中心設計によるWeb構築においては、ユーザビリティに重点が置かれる傾向があるように思われます。確かに、ユーザビリティの向上はユーザー導線の改善や不満足要素の低減には役立つものの、ユーザーが欲する、またはユーザーに伝えたいコンテンツをどのように作っていくのか、については、まだまだ研究の余地が残されているように感じます。

ユーザーが必要とするコンテンツを特定することは、ユーザー・ニーズを特定していく過程である程度明らかにできますが、何を伝えたいかは、企業のコミュニケーション戦略に依存します。

そして、情報量の充実は、必ずしもコンテンツの質の充実を意味せず、魅力的なコンテンツに対する満足度はユーザビリティにおける不満足要素を上回ります(もちろん、いずれもが充実していることが望ましいのですが)。

企業戦略>コミュニケーション戦略>Webの戦略>コンテンツ戦略の軸を明確にすることで、「ターゲットユーザー像を具体的に持つということ」の意味は格段に変わってくるのではないでしょうか?