2012年3月16日 CSUN 2012参加報告

アクセシビリティエンジニア
辻 勝利

2月27日から3月3日まで、California州San DiegoのManchester Grand Hyatt Hotelで、27回目となる世界最大級のアクセシビリティに関する国際会議、CSUN 2012が開催されました。昨年のCSUN 2011は、東日本大震災の影響を考慮して参加を断念したため、今回は私にとって2年ぶりのSan Diego出張となりました。

本稿では、今年のCSUN参加で私が感じたことをご紹介したいと思います。

CSUNとは?

The International Technology and Persons with Disabilities Conferenceは、主催のCalifornia State University, Northridgeの略称から、CSUNと呼ばれています。26年もの歴史があり、期間中はさまざまなセッションや製品/サービスの展示等が行われています。

今年も300以上のセッションが行われ、世界中から多くの方々がカンファレンスに参加しました。私が前回参加した2年前は、土曜日の午前中にもセッションが行われておりましたが、今年は水曜日から金曜日までの3日間しか発表期間がなかったことを考えると、セッションの数が前回とほとんど変わらなかったことは驚きでした。また、2年前までのCSUNでは、事前にオンラインで参加登録を行ったセッションでCSUN期間中のスケジュールを作り、それに沿って会議室を移動しながら発表を聴いて回るというスタイルがとられていました。しかし、今年のCSUNでは、事前に公開されたセッションスケジュールで気になった会場に直接赴いて聴講することになっていました。会場が満席の場合は、そのセッションの立ち見をすることもできますし、同じ時間の他のセッションに参加することもできたので、時間を有効に使えました。

余談ですが、当社ミツエーリンクスも、このCSUNで過去に3回の発表を行ったことがあります。

今年のCSUNでは、私たちのセッションを聴いたことがあるという方にお会いする機会がありました。その方は日本のスクリーン・リーダーや点字などに関心があり、私がスクリーン・リーダーを使って行ったアクセシビリティ対応前と対応後のFlashコンテンツの読み上げのデモンストレーションを覚えてくださっていました。

参加者が集中していたセッション

私は今年、特にスマートフォン関連のセッションに参加しようと考えていたのですが、「Android」や「iPhone」といったキーワードを含むセッションはどれも人気があり、満席のものも数多くありました。

私が参加できたセッションの中で特に興味深かったのが、スクリーン・リーダー利用者視点でのiOSとAndroidの機能比較です。日本ではまだiデバイス以外にスクリーン・リーダー利用者が使用できるスマートフォンの選択肢がないことを考えると、CSUN会場で実際の利用者のコメントを聴くことができたのは大変有意義でした。

木曜日の午後、私はGoogleによるAndroid端末のデモンストレーションが行われている会場に向かいました。Googleの担当者から直接個別に操作方法を教えてもらえるとのことで、会場周辺は大変混雑していました。私も、Android端末向けの最新OS、Ice Cream Sandwichの基本的な操作方法や、日本語音声のAndroidマーケットでの入手方法(初期状態のAndroidには日本語音声が入っていないため)、ICタグを使ってアプリを起動する方法等を教えていただきました。インターネットを情報源として日常的に利用できるようになった今日でも、実際の機器に触れて操作体験できる機会は重要だなと改めて感じました。

箱から取り出してすぐにアクセシブル

意外に感じられるかもしれませんが、最近まで多くのアクセシビリティ機能は、初期設定を利用者自身で行うことができませんでした。例えば、私が普段使用しているWindowsも、スクリーン・リーダーをインストールするまでは全く画面の内容を把握することができず、全盲の視覚障害者が独力で利用することはできません。

しかし、今回のCSUNでよく耳にしたのが、Out of the Box Accessibility(箱から取り出してすぐにアクセシブルであること)でした。iPhoneのVoiceOverはホームボタンを3回押すことで開始できますし、Android 4.0(Ice Cream Sandwich)のアクセシビリティ機能も簡単なジェスチャーで有効化できます。また、今後登場する予定のWindows 8の読み上げ機能であるナレーターも簡単なジェスチャーで使い始めることができるようになっているとのことです。

このように、利用者自身が箱から製品を取り出してすぐに、アクセシブルな状態で使い始めることができるような時代になりつつあることが素晴らしいと感じました。

CSUNへの参加を終えて

今年のCSUNでは、さまざまなセッションに参加したのもさることながら、多くの参加者と交流できたことが私にとって一番の収穫でした。過去のCSUNで知り合った懐かしい人たちと再会したり、これまでTwitterのタイムライン上で交流してきた人たちに直接お会いして、Webアクセシビリティを高めていくための人と人とのネットワークの重要性を改めて認識しました。

今回お会いした方々とのネットワークを通じて、より多くのことを学んだり、Facebookページ「ミツエーリンクス アクセシビリティ」を通じて日本からも情報発信を行っていきたいと思いました。

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