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Breaking Development Orlando 2012 参加報告

2012年5月11日

取締役
木達 一仁

先月16日から17日にかけての2日間、米国フロリダ州オーランドにあるGaylord Palms Resortを会場に催されたBreaking Development Orlando 2012に参加しました。Breaking Developmentは、モバイルデバイス向けのWebデザイン、Web開発におけるテクニックやワークショップ、トレーニングにフォーカスしたイベントで、扱うトピックスにはモバイル向けのUIとそのUX、レスポンシブWebデザインや表示パフォーマンスが含まれます。先月27日にレスポンシブWebデザインの提供を本格化というニュースリリースを発行していますが、当社としてスマートフォンやタブレット型デバイスへの対応、そしてレスポンシブWebデザインに対する取り組みを強化しているその最中に、タイミングよく最新トレンドを学べるということで参加した次第です。本コラムでは、都合15に及ぶセッションのなかから興味深かったものを、4つ感想を交えてご紹介したいと思います。

Performance Implication of Mobile Design

レスポンシブWebデザインにおける主要な課題のひとつ、表示パフォーマンスについてのセッションです。利用者が期待するWebページの表示完了までにかかる時間は、3秒が36%、2秒が30%、1秒が12%という統計が示されました。1秒未満という層も5%の割合を占め、それだけ表示パフォーマンスに対する要求は高いといえます。

スマートフォン専用/最適化ページの場合、表示パフォーマンスは概ね良好ではあるものの、設定次第ではリダイレクトが足を引っ張ってしまう例が示されました。そしてレスポンシブWebデザインの場合、画像やスタイルシートの過剰なダウンロードをどう回避するかが課題であり、その対応策としてスクリーンサイズに応じた画像を提供するテクニックや、モバイル・ファーストに則ってページを制作し、より大きなスクリーンにはJavaScriptでDOMを拡張する方法が紹介されました。

Googleが検索順位の決定に表示速度を使い始めるというニュースがあった頃から、デスクトップ向けサイトについても表示パフォーマンスが注目を集めるようになったように思いますが、モバイル環境からのWeb利用者が急増している昨今では、Webデザインに携わる誰もが注力すべきテーマであると思いました。

Responsive Design Workflow

どのようなワークフローでレスポンシブWebデザインに臨むべきか、という講演です。技術は常に進化しており、また誰もが新しい技術を学び続けているにもかかわらず、ワークフローが変わらないままだとしたらあまりに不自然ではないか?との問題提起から話はスタートしました。

フロー上、まずコンテンツを棚卸しのうえ、テキストのみでもってページを構成し、妥当な文書構造を確定させることが肝要であることが語られました。デバイスのもつ特性が日進月歩だからこそ、将来登場するであろう未知のプラットフォームに対応するべく土台となる文書構造、情報構造を重視するのは、アクセシビリティを確保するうえでも理にかなっていると思いました。

Here Be Dragons: Mobile Web and the Enterprise

エンタープライズ企業に対しモバイル事業者はどう接して行くべきか?という趣旨の内容でした。モバイルに向けた戦略を構築し取り組んでいる企業は、ある調査によると過半数に達しておらず、それ以外の企業は短期的な施策立案が喫緊の課題である、という現状がまず紹介されました。

既存のPCサイトをスマートフォン向けに変換するようなソリューションを利用している企業は少なくないものの、短期間・低コストである反面、見た目が似たり寄ったりになりがちといった短所があります。一方、デスクトップ環境にもモバイル環境にも対応するためのソリューションのひとつにレスポンシブWebデザインがありますが、それがどの企業にも最適とは限りません。企業の組織構造や予算配分、体制などの面でフィットしない場合はあります。

結局のところ、すべての要件を満たす万能薬など存在するわけもなく、最適な戦略やソリューションは企業ごとに異なってしかるべきであり、それを踏まえて何をどう提案すべきかが問われるのは、モバイルユーザーが今日あるまでに急増するより前も後も変わらない、と感じました。

Reset the Web

2日目最後のセッションは「Webをリセットせよ」というやや刺激的なタイトル。Webの歴史を振り返りつつ、Webがこれからどう変わって行くのか、そのときWebデザイナーはWebとどう向き合って行くべきか、といった内容でした。

前半で語られたインターネットの、そしてWebの発展がいかに私たちの生活を変えてきたかの紹介は、実に印象的でした。そしてまた、デスクトップユーザーの数をモバイルユーザーの数が追い抜くというマイルストーンの意味を、改めて考えさせられました。

最後に未来に向けて提示されたいくつかのアイデアは、現在のWebがもつ課題を浮き彫りにもしたように思います。たとえばSNSと連携するためのウィジェットは、Webコンテンツを提供する側で実装/担保するより、ユーザーがカスタマイズ可能なかたちでブラウザーの側が担保したほうが、確かに理にかなっていると感じます。そういった課題に目を向けさせてくれた意味でも有意義なセッションでした。