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グローバル化した世界に日本独自の優れたUXを伝えよう!

2012年4月20日

UXエバンジェリスト
金山 豊浩

2012年3月30日、南アフリカのヨハネスブルグでUXalliance主催のUX Masterclassが開催されました。イベントの内容についてはUX Blogの記事『UX Masterclass in Johannesburg 参加報告』にてお伝えしましたが、本稿では、そのイベントに参加して感じた「グローバルユーザー調査の意義と必要性」についてお話ししたいと思います。

世界に広がるUX実務家の輪

UX Masterclassは、半年に一度世界各地を巡りながら開催される、UX実務家がグローバルな視点でノウハウを共有するイベントです。私は前回のシカゴに続き2回目の参加となりました。初参加の前回は、多くの人と出会って交流したり、自分が担当する発表のことで頭の中がいっぱいだったりと大変でしたが、2回目ともなると多少勝手が分かってきました。会場の様子やプレゼンテーションをビデオ撮影し、イベントに参加できなかった方にもこの熱気と楽しさをお伝えするためにビデオキャストで公開すべく準備中です。お楽しみに!

欧米化の波

治安上の理由から、UX Masterclassの会場(Hyatt Regency, Johannesburg)とその周辺のモール街からは出ませんでした。その安全な範囲内だけでは南アフリカに来ている実感はあまりなく、他の海外UXイベントに参加している状況とあまり変わらない(規模が小さめ程度の)印象でした。想像していた自然あふれる環境ではなく、欧米化された空間がそこにあったのです。世界はグローバル化・同一化がかなり進み、差別化が難しくなってきたのではないかと感じさせられました。

イベント終了後は車で2時間かけて「サファリ」へ移動し、2泊3日の合宿形式でUXallianceのミーティングが行われました。そこでの体験(野生動物の野外観察)を通して初めてアフリカらしさを感じることができました。しかし野生とは言っても、肉食動物と草食動物は隔離されているので、「人間により管理された箱庭の中の野生」でした。別の見方をすると、「大事なものは保護しないと失われていってしまう」ということかもしれません。

グローバル化した世界における日本の特殊性

UX Masterclass の目玉である "Around the World Panel" は、1時間で8つの国の特徴やユーザー調査を行う際のノウハウを、各国スピーカーのバトンタッチ形式で一気にまとめて知ることができる人気セッションです。自由奔放なイタリア人、No.1が好きなアメリカ人など、話す内容やプレゼン方法にもそれぞれの国の特徴が表れており、UX Masterclassならではの国際的なセッションとして、何度見ても楽しめるものでした。それらの特徴的なプレゼンの中で、日本のプレゼンは美しい風景写真が聴衆の目を惹き、漢字・ひらがな・カタカナ・alphabetが混在並立する特殊な言語を使っていることなど、他の国には無い特殊性と希少性を感じました。

イベント当時、南アフリカは夏から冬に変わろうとしている(乾期と雨期が入れ替わる)ところでしたが、日本の四季のような春の桜、秋の紅葉と言った艶やかさは感じ取れませんでした。「四季の移り変わりを肌で感じられる日本人は感受性が豊かになる環境に恵まれているんだなぁ」と、日本以外の場所に行ってみて自分自身の感覚として気づいたのです。

日本の良さを知り、グローバルに展開する

ここ半年で色々な国に出向く機会がありましたが、海外のことをもっと知りたいと思って赴いた外国の地で、逆に日本の良さを教えてもらったり気づいたりすることが多々ありました。言うなれば、今まで日本のことをよく知らなかったことを知ったのです。当たり前だと思っていたことが、実は素晴らしい・珍しいことだったのです。例えば、グローバル展開しているハンバーガーショップを比べてみても、ハンバーガーの作り方や店員の接客など、おもてなしの心が随所に表れている日本のクオリティーの高さは秀逸でした。飛行機の乗り継ぎで時間が短くて焦っていたら、日本の航空会社のスタッフの方が待ち構えていて乗継便の手荷物検査口まで案内してくださいました。気配り・心配りは日本人が持つ特徴的な強みなのだと、ありがたさを実感した瞬間でした。

海外に事業展開していくケースを考えると、まずは海外に目を向けながら日本の良さを探求することから始めるべきだと思います。もっと日本人、日本文化、日本製品の本質・特徴・良さについて理解を深め、何が日本独自で価値のあるものか気づく必要があるのです。一旦、素晴らしい面を発見したら、グローバルユーザー調査を武器(道具)として活用できます。UXallianceによるグローバルユーザー調査により、進出を考えている国・地域における製品・サービスの受容性が確認できます。

ITの発達でより身近になった世界で、オープンマインドでビジネス展開できる時代が到来しています。感受性豊かな日本人が、相手のことを思いやる「おもてなしの心」を活かしたモノづくりやサービスの提供で勝負していけるのではないでしょうか。海外文化に対する好奇心を持ちつつ、自分たちが持っている強みを日本ならではの優れたUXとして確立して、世界に伝えていきましょう。

参考情報

Samples of international case studies the UXalliance has been involved in
UXallianceが自主的に行ったグローバル調査が事例として公開されています。