発信力の武器、CMS選定は「3+1」
テクノロジーアンバサダー榛葉CMSはどうやって選びますか?企業のWeb発信力はCMS選定の巧拙に左右されます。
最新調査によると、CMS(コンテンツ管理システム)の利用率は7割を超えています。企業のWebサイトでも、CMSは必要不可欠なツールになりました。一方、何を基準に選べばよいのか。お悩みのWeb担当者も多いのではないでしょうか。今回のコラムでは、CMS選定で検討すべき「3プラス1」の評価軸をご紹介します。
企業サイトでも一般化するCMS
W3Techsによると、Webサイトの71.3%でCMSが利用されています(比率はコラム執筆時)。トラフィックの多い上位1000万サイトを対象に、機械的に検知されたCMSの比率です。検知できないケースを考えると、実際はもっと多いかもしれません。
また、2025年の「上場企業CMS調査レポート」では、日本の上場企業が開設するWebサイト19,265件のうち7,113件でCMS利用が検出されています。公式サイトだけでなく関連サイトを含めての数ですが、日本企業でも、CMS導入が一般化している様子がうかがえます。
CMSの普及にともない、既存のCMSを廃棄し、新しいCMSに乗り換える動きも盛んです。乗り換えのモチベーションは、現在利用しているCMSが抱える課題の解決です。そのためには、当然ですが課題を解決できるCMSを選ぶ必要があります。つまり、CMS利用企業に共通する課題を知ることで、CMSの選定基準が見えてきます。
「経済性、利便性、安全性」の3つの評価軸
今年公開された「CMSの選定方法に関する実態調査」によると、ユーザー企業が感じているCMSの課題は、大きく「経済性、利便性、安全性」の3つに集約されます。
- 「保守・運用コストが高い」(47.3%)、「CMSの価格が高い」(38.3%)で、経済性に関する課題が最多
- 「柔軟性の高い運用ができない」(33.5%)、「表示速度などのパフォーマンスが悪い」(28.5%)、「管理画面が使いづらい」(25.8%)と続き、これらは利便性に関する課題
- 「表示速度などのパフォーマンス」には、Webサイトの表示速度(サイト訪問者向け)と、管理画面の操作レスポンス(運営者向け)の両面が含まれると考えられます。特にWordPressなどの一体型CMSでは、両面の性能が密接に関係しており、どちらも利便性に直結する重要な要素です。
- 「セキュリティ面で課題がある」(19.0%)は、安全性に関する課題
これらはそのまま、CMS選定時に重視すべき評価軸と対応しています。
同じアンケートで、「CMSを導入する際に重要視する点は?」との質問に、
- 経済性=「保守・運用コスト(50.8%)」、「CMSの価格(46.8%)」
- 利便性=「管理画面などの使いやすさ(39.5%)」、「表示速度などのパフォーマンス(32.3%)」
- 安全性=「セキュリティの高さ(30.0%)」
があがります。
アンケートでは「経済性 → 利便性 → 安全性」の順で回答が多かったものの、実際の検討では「安全性 → 利便性 → 経済性」の順に考えるのがポイントです。
なぜなら、安全性を確保しやすいCMSを選ぶことが、結果的に運用コストの削減につながるからです。Webサイトの公開は、攻撃者を含む不特定多数のアクセスを前提とします。セキュリティ対策をしやすい、攻撃対象を最小化できる構成を選ぶことで、防御のための過大な投資が避けられます。
プラス1の評価軸は「将来性」
アンケートには出てきませんでしたが、CMS選定において「将来性」も重要な評価軸です。企業サイトで利用するCMSは、5年以上使われることも珍しくありません。
ここでは、将来性を考える際のポイントを2つご紹介します。
1つ目は、製品仕様の伸びしろ。
小さい風呂敷を選ぶと、風呂敷以上のものは包めません。導入後の将来像を描いたうえで、初期はスモールスタートでも、将来の成長にも対応できるか見極めておきたいところです。
2つ目は、CMSベンダーの事業継続性。
財務状況だけでなく、国内のユーザー企業数の成長率やパートナーネットワークの広がりも大切です。プロダクト成長に勢いがあり、エコシステムが強固であれば、事業の継続性も高いと考えられます。
今、「安全性、利便性、経済性」に、「将来性」を加えた3プラス1の観点から、CMSの新しい選択肢として「ヘッドレスCMS」が注目を集めています。
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CMSの乗り換えをご検討中のWeb担当者の皆さまに、有益な情報提供の場となれば幸いです。これからのCMS選定に役立つ視点を、ぜひお持ち帰りください。
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