ニーズに合った手段が利用できることの重要性

アクセシビリティ・エンジニア 大塚

Webを含めたアクセシビリティを高めていくうえで必要となる考え方の1つが、「手段を複数提供する」というものです。例えば、Webアクセシビリティの文脈においては、WCAGの達成基準 2.4.5: 複数の手段で、Webページ上でコンテンツを見つけるための手段を複数提供することを求めています。目的を達成するための手段が複数提供されていると、ユーザーにとって使いやすかったりわかりやすい方法を選択できるというメリットがあります。

こうした考え方は、Webページのみに当てはまるわけではありません。最近私が感じているのが、特にここ数年で、情報の確認や各種手続きがWebサイトからは行えず、スマートフォンアプリのみから行えるサービスが増えているということです。身の回りの一例で思い浮かぶものとしては、スマートフォンの通信プランの一部で、各種手続きがスマートフォンアプリのみでしか行えなかったり、水道料金の確認が今後アプリでしか行えなくなるといったものがあります。

スマートフォンから行えることが増えることには、より手軽にサービスが利用できるといった多くのメリットが存在します。一方で、併せてWebサイトが利用できないと、スマートフォンアプリにアクセシビリティ上の問題があったとき同じ手続きをWebサイトで完了させるとか、入力項目の多い手続きを、より素早い入力が可能なPCで行うといったことができず、不便さや障壁を感じることがあります。

これは、私を含めたスクリーンリーダーなどの支援技術のユーザーにとって大きな影響があると考えられますが、さまざまな画面サイズの環境で情報を確認できるなど、ニーズに応じた手段が利用できることには、支援技術を利用していないユーザーにとってもメリットがあるのではないでしょうか。

サービスのアクセシビリティをより高めていくためにも、状況やニーズに合わせてユーザーが手段を選べるようにすることは重要です。また、以前当Blogで取り上げたスマートフォンによるマイナンバーカードを使った本人確認の仕組みなど、スマートフォンを活用することでよりアクセシブルにできることも多くあります。それぞれのデバイスの特性や仕組みを生かしつつ、より便利にサービスが利用できるようになることに期待したいです。