ポータブル版NVDA
アクセシビリティ・エンジニア 大塚スクリーンリーダーNVDAには、USBメモリーなどにコピーして実行できるポータブル版が存在します(NVDAのユーザーガイドの3.2. ポータブル版の作成を参照ください)。実行環境を持ち運べるのは、他の主要なスクリーンリーダーにはあまり見られない特徴です。
VoiceOverについては、macOSで設定情報を外部ドライブに保存できたり、iOSでは設定情報を他のデバイスと共有することができます(iOSの設定共有については、過去に当Blogで取り上げたiOS 26のアクセシビリティ設定共有機能もご覧ください)。一方、こうした実行環境を持ち運べるスクリーンリーダーは、私の知る限りではNVDAしか存在しません。
今回はポータブル版の作成や利用方法、制限事項を解説します。
ポータブル版は、NVDAメニューのツール>ポータブル版の作成から作成できます。作成する際は、ポータブル版を作成するフォルダやドライブを選択し、以下のオプションを適宜変更のうえ、「継続」を選択します。
- 新しいフォルダーでポータブル版を作成:指定したフォルダ内に、ポータブル版一式が格納された「nvda」というフォルダを作成します。チェックを外すと、指定したフォルダ直下に一式のファイルが格納されます。
- 現在のユーザー設定をコピー:設定やアドオンを含めて作成する場合はチェックします。チェックを外すと、デフォルトの設定でポータブル版が作成されます。
- 作成したポータブル版を実行:作成完了後、即座にポータブル版を起動したい場合はチェックします。
そのほかポータブル版は、NVDAのインストーラーのメニューからも作成できます。また、作成したポータブル版を実行した状態で、NVDAメニューのツール>NVDAのインストールを実行すると、ポータブル版の設定を反映した状態で、NVDAをインストールできます。
ポータブル版は、NVDAがインストールされていないPCで一時的に利用する場合はもちろん、設定やアドオンを含めた状態で作成できるため、使い慣れた設定のNVDAを持ち運ぶことができます。私自身、バージョンごとにポータブル版を作成して、トラブル発生時、素早くロールバックしたり、購入したPCでNVDAをインストールするまでのつなぎとして利用するなど、ポータブル版を活用しています。また、ポータブル版にもアップデート機能があるため、都度ポータブル版を作成する手間もなく、簡単に最新バージョンを利用することもできます。
なお、ポータブル版には、ログオン画面での読み上げや、タッチ操作での利用に制限があるため注意が必要です(詳細はユーザーガイドの3.3. ポータブル版と一時的な実行の制約を参照ください)。
このように、ポータブル版NVDAは使用頻度こそ高くないものの、トラブル対応や環境移行において重要な役割を果たします。