iOS 26のアクセシビリティ設定共有機能
アクセシビリティ・エンジニア 大塚Appleが先月リリースしたiOS 26では、iOSにプリインストールされているスクリーンリーダーのVoiceOverにも、いくつかの更新が加えられました。中でも興味深いのは、以前当Blogの記事でも触れた、アクセシビリティ設定の共有が可能になったことです。今回は、VoiceOver利用者視点で同機能についてまとめます。
この機能を利用すると、iPhoneのさまざまなアクセシビリティ関連の設定を、他のiPhoneやiPadに一時的に共有できます。両方のデバイスでBluetoothとWi-Fiをオンにしている前提で、共有を行う手順の一例を以下に示します。
- 共有元のデバイスで、設定>アクセシビリティから、「アクセシビリティ設定を共有」を開き、さらに「アクセシビリティ設定を共有」を選択します。
- 共有元のデバイスの上部を共有先のデバイスに近づけ、共有先のデバイスの画面を3本指で押さえたままにすることで、設定が共有されます。
共有された設定は、共有先のデバイスのステータスバーから操作するか、デバイス間の距離が一定以上離れることで削除されます。
VoiceOverについては、読み上げ速度や音量などの設定が共有され、共有先のデバイスを使い慣れた設定でスムーズに操作できました。これまで、初期設定済みのデバイスでVoiceOverを有効にするには、周囲の人に操作してもらう必要があったことを考えると、非常に大きな変化だと感じます。
また、スクリーンリーダーやその他の読み上げに関する設定をする際、画面を視覚的に確認する必要があり、視覚障害者の私には完結できないことがあったのですが、今回の共有設定での一連の操作は、画面を見ずに実行でき、ひとりで完結できる点が印象的でした。
注意点として、この機能は、共有元・共有先のいずれもがiOS 26以上である必要があります。また、共有元のデバイスでBluetoothのイヤホンを接続しVoiceOverの音声を聞いている場合、そのBluetooth接続設定は共有先には引き継がれません。そのため、共有先のデバイスではスピーカーから音声が出力されますので、騒がしい場所での利用には工夫が必要そうです。
OSのバージョンなどにより、当面この共有機能を利用できるデバイスは限られます。その一方で、飲食店での注文やホテルの客室に備え付けの設備の利用など、公共の場でiOSデバイスが利用できる場合はそれなりにあると考えています。この機能の普及によって、視覚障害者が単独で行えることの幅が、今後さらに広がっていくことを期待しています。