HTML StandardとARIAの関係性

アクセシビリティ・エンジニア 中村(直)

The WHATWG Blogに1月21日付けでConsidering accessibilityというタイトルの記事が公開されました。

このBlog記事の内容を要約すると、各要素の定義にAccessibility considerationsが追加され、簡単にARIAの情報にたどれるようにした、と言ったところです。

例えばol要素であれば、Accessibility considerationsのFor authorsのリンクとして、ARIA in HTMLのol要素が提示されているといった具合に、HTML Standardの各要素の定義からARIA in HTML仕様の該当要素へすぐにたどれるようになりました。地味ですが、便利なリンクが追加されたと言えるでしょう。

ところで、Blog記事では直接触れていませんが、個人的には3.2.4 Element definitionsにおけるAccessibility considerationsに次の一節が加えられたことが意義深いと捉えています。

For authors: Conformance requirements for use of ARIA role and aria-* attributes are defined in ARIA in HTML.

上記引用は「著者向け:ARIA roleおよびaria- *属性の使用に関する適合要件は、HTML in ARIAで定義されている。」というような訳になるでしょうか。

何気ない一文ではあるのですが、筆者の記憶が正しければ、Web制作者向けのARIAの要件は、ある時期にはHTML Standardの中で示されていることがあったと記憶しています。しかし、紆余曲折を経て変更が入り、長らくHTML Standardで明確に示されてきませんでした(WHATWG Blogで示されている変更がコミットされる前は、HTML Standardにおいて、文脈からWeb制作者はHTML in ARIAに従えばよいだろう、ということがほのめかされるのみでした)。

明示されることにより、心置きなくHTML in ARIA仕様を参照できるようになったのもさることながら、W3CとWHATWGの連携がうまくいっているという証左とも捉えるでしょうか(関連記事:フロントエンドBlogW3CとWHATWGが共同でHTMLの仕様を策定するようですも参照ください)。

あるいはW3Cの文書のステータスとどう付き合えばよいのかについて、見直すきっかけになるでしょうか。WHATWGからW3Cへの文書は少なくともReferencesでは以前からEdtior's Draft(編集者草案)を参照していたわけですが、HTML Living Standardの要素定義でも当然ARIA in HTMLのEditor's Draftへのリンクが張られているわけです。勧告などの公開文書の安定したステータスを示しつつ、実際に文書を参照するのは更新頻度の高いEditor's Draftという状況は、例えばcaniuse.comでも見られます。

少し脇道に話がそれてしまいましたが、強引にARIAの話に戻るならば、WAI-ARIA仕様の1.4 Co-Evolution of WAI-ARIA and Host Languagesで記述されているホスト言語(HTML)とARIAの相互進化というものが、ゆっくりと進行していることが見て取れると言えます。