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UX Blog

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会話によるユーザー体験の変化 ~Conversational UXというチャレンジ ~

インフォメーション・アーキテクト 前島

私たちは日常生活において友達や同僚、いつも行くお店の店員やたまたまその場に居合わせた他人など、様々な相手と会話を通じてコミュニケーションしています。人間にとって最も自然なコミュニケーション方法は会話と言えるのかもしれません。

そんな中、昨今注目されているのが会話型のユーザーインターフェイスです。今回はそんなトレンドをピックアップしてみようと思います。

日常的に利用される会話型ユーザーインターフェイス

App Annie社の調査によるとスマートフォンユーザーが毎月利用するアプリはインストールしたアプリの約30%であり、1日に利用するのはさらにそのうちの30%(これは30:10ルールと呼ばれます)であるといいます。

また、ジャストシステムズ社のモバイル&ソーシャルメディア月次定点調査(2017年5月度)によると、6割以上のスマートフォン利用者が毎日利用するアプリは5個以下であるといいます。

ではどのようなアプリが毎日利用されているのでしょうか。

Google社による調査「モバイルアプリの利用実態とアプリマーケティングを考える 第2回 : 日本のアプリ利用の実態」によると、「メッセージング/コミュニケーション」カテゴリのアプリ利用が最も伸びていることがわかります。

こちらの調査データでは説明されていませんが、この「メッセージング/コミュニケーション」カテゴリには、LINE、Facebook Messenger、WhatsApp、WeChatなどのアプリが該当すると考えられます。

そしてこれらのアプリに共通するのは会話型ユーザーインターフェイス(Conversational UI)が取り入れられていることです。これは、すでに人々は普段の生活においてConversational UIを毎日利用し体験していることを意味しています。

例えばニュースの受け取り方にもいま変化が生じています。

ロイター社の調査によると、これまでニュースの情報源として伸びていたソーシャルメディアの割合は減少傾向にあり、メッセージングアプリをニュースメディアとして利用し始めている人が急速に伸びているようです。

最も多いアプリはWhatsAppで、次いでFacebook Messenger、Snapchat、Viber、WeChatでテキストメッセージングUIを通じて人々はニュースを受け取るようになってきているのです。

また、仕事上のコミュニケーションにおいてもSlackやChatWorkなどチャットコミュニケーションツールの導入は拡大しています。

人々の会話型ユーザーインターフェイスの利用は公私において一般化していると言えるでしょう。

メッセージングUIの成長

会話型ユーザーインターフェイスと聞くとchatbotサービスを思う浮かべる方もいるでしょう。Chatbotの市場は年々拡大しており、MarketsandMarketsの調査によると、2016年は約7億ドルであったものが2021年には30億ドル以上になるといいます。

日本国内においても一般ユーザーがchatbotと会話をする機会は徐々に広がっています。

例えば、横浜市はNTTドコモ社との共同実証実験で、ゴミの出し方を会話形式で案内する「イーオのごみ分別案内」を今年スタートさせました。 これは捨てたいものをイーオに伝えるとその分別方法を会話を通じて教えてくれるもので、例えば「フライパンの出し方」と伝えると「捨てたいものが、フライパン(金属製)なら、捨て方は、小さな金属類だよ。30㎝以上(取っ手は除く)のものは粗大ごみに出してね。」「捨てたいものが、フライパン(セラミック製)なら、捨て方は、小さな金属類だよ。」とイーオがテキストメッセージで教えてくれるわけです。 ユーザーからの評価は好評で、当初2017年6月までであった実証期間は延長が決定したようです。

NTTドコモ×横浜市共同実証実験  NTTドコモ×横浜市共同実証実験 "チャットボット"を活用した「イーオのごみ分別案内」

また、ヤマト運輸社は宅急便の時間変更や再配達依頼等をLINE上のchatbotとの会話を通じて行えるサービスを展開しており、こちらもユーザーからの評価は好調のようです。

ヤマト運輸による「これからは、LINEで宅急便」 ヤマト運輸による「これからは、LINEで宅急便」

ではchatbotのUIは今どのような状況にあるのでしょうか?

Microsoft社のBot FrameworkLINE社のMessaging APIFacebook社のMessenger Platformなど各社からUIコンポーネントが提供されていますが、それはGUI(Graphical User Interface)とCUI(Conversational User Interface)の間の実験状態にあると言えます。

Facebook社によるMessenger Platform Component Spectrum Facebook社によるMessenger Platform Component Spectrum

会話の中で人間同士のコミュニケーションに近いシンプルなテキストメッセージとビジュアル要素を含むインタラクティブなUIを、ユーザーのコンテキストに合わせて適切に組み合わせ、どのようなユーザー体験を生み出すことができるのかを模索している状況であると言えるでしょう。

ChatbotのUIは日々進化しており、それはメッセージングUIの成長の一端を担っていくと考えられます。

音声アシスタントデバイスの普及

一方、会話型ユーザーインターフェイスを考える際に忘れてはいけないのがボイスUIの存在です。

その領域を牽引しているのがスマートスピーカーで、Amazon社によるAmazon Echo、Google社によるGoogle Home、Apple社によるHomePodなど、その市場は2020年には約20億ドルに(ガートナー調べ)2024年には130億ドルに(Global Market Insights, Inc.調べ)なると言われています。

Amazon社によるAmazon Echo Amazon社によるAmazon Echo
Google社によるGoogle Home Google社によるGoogle Home
Apple社によるHomePod Apple社によるHomePod

どのデバイスもまだ日本市場にないものになるため日本人にとってなじみがないですが、eMarketerによるレポートでは3560万人のアメリカ人が少なくとも月に1回は音声アシスタントデバイスを実際に使用している状況です。

ホームデバイスとしての利用以外にも例えばフォード社やフォルクスワーゲン社が車の運転中にAmazon社のAlexaと会話ができるようになることを計画している等、そのシーンは今後広がっていくことが予想されます。

Alexa Skill開発については当社加藤がフロントエンドBlog「Alexa Skillをローカルで開発しよう」にて触れておりますのでご興味のある方はご覧ください。

ウェブUIからボイスUIまで広がるUIの可能性

ボイスUIも含めた複数チャネルのchatbotをデザインするにあたり、Responsive Personality Designという考え方も出てきています。

Conversational UIを以下の4つに分類し、chatbotのパーソナリティを最適化すべきだという主張です。

ウェブUIにおけるResponsive Web Designをなぞったものになりますが、先述したFacebookのMessenger Platform Component Spectrumとあわせて考えると、これから私たちはウェブUIからモバイルUI、メッセージングUI、ボイスUIに至る広い範囲でどのようなUIが適切なのかを考える時代にあります。

人々が求める情報を得るために、どのようなコンテキストに対しどのようなUIを設計し、どのようなUXを実現することができるのか。Conversationは重要なキーワードの一つであると注目しています。