2007年9月14日 Webアクセシビリティをもっと身近に

アクセシビリティ・エンジニア
辻 勝利

「スクリーン・リーダーでのデモを交えた話は大変参考になったが、これを社内でどのように共有すればいいのかわからない」。

これは、私たちアクセシビリティチームが過去におこなってきたセミナー終了後にいただいた感想のうち、多くいただくものの一例です。確かに、スクリーン・リーダー音声ブラウザのように、音声や点字を出力するソフトウェアについては、そのようなソフトウェアがあることや、筆者をはじめとした視覚障害者がそれらを使用してWebサイトにアクセスしているということを話として聞いただけでは、それがどのようなものなのかを実感していただくのは難しいのではないかと感じております。

そこでこのたび、当社ではWebにかかわるすべての人に、アクセシビリティをもっと身近に感じていただき、理解を深めていただくため、新しいサービスをリリースいたしました。本稿ではこのサービスについてご紹介することで、アクセシビリティをもっと身近に感じていただきたいと考えております。

スクリーン・リーダー テスティング

Webサイトを訪れた多くの人が、目的の情報に効率よくアクセスできるようにするためのWebアクセシビリティは、近年多くのコンテンツ提供者の方々に知られるようになり、企業や自治体など多くのWebサイトで実装されるようになってきました。

一方、9月7日に公開されました総務省の報告書、「地方公共団体におけるホームページ等ウェブアクセシビリティに関するアンケート結果の概要」によりますと、Webアクセシビリティに関する認知度は以前に比べて上がってきているものの、まだ何の取り組みもなされていないところも依然少なくないことが報告されております。

そこで、もっと多くの方に、視覚障害者がスクリーン・リーダーを用いてどのようにWebサイトにアクセスし、目的を果たしているかを知っていただき、お客様のWebサイトのアクセシビリティを向上させるきっかけとしていただきたく、スクリーン・リーダー テストというサービスを発表しました。

このサービスは、お客様のWebサイトにスクリーン・リーダーを用いてアクセスし、特定の作業を完了させるまでの音声を記録し、利用者が作業中にどのような操作を行ったかの解説文書とともにご提供するものです。

このサービスをご活用いただくことで、お客様のWebサイトがスクリーン・リーダーでどのように読まれるかをより鮮明にご理解いただくことができます。また、ご提供させていただく音声ファイルを社内で共有していただけば、Webにかかわるお仕事をされている方のみならず、社内全体で問題点を共有していただき、改善に役立てていただくことができます。

アクセシビリティPodcast

もうひとつ9月下旬より開始を予定しているのが、アクセシビリティPodcastです。1カ月に2度程度、Webを中心としたアクセシビリティに関する最新動向と、筆者が日常的に使用しているスクリーン・リーダーの効果的な使用法についての情報を発信していきます(アクセシビリティBlogにて公開予定)。

この情報を発信しようと考えたきっかけは、アクセシビリティを「特別なこと」ではなく、もっと身近に感じていただき、コンテンツ制作の現場や日常のWebサイトへのアクセスの際に活用していただきたいと考えたからです。コンテンツは、Webアクセシビリティの最前線で活躍されている、株式会社インフォアクシアの植木真氏と筆者のフリートークのような形式で、例えば通勤や通学のちょっとした時間にお聞きいただき、その日の話題づくりに役立てていただけるようなものを目指しています。Webアクセシビリティに関してはおそらく日本初となる「辻ちゃん・ウエちゃんのアクセシビリティPodcast」に、どうぞご期待ください。

アクセシビリティをもっと身近に

筆者が最初に本コラム欄に寄稿したのがほぼ1年前の昨年9月15日、「アックゼロヨンセミナー参加報告」の中でWebアクセシビリティを特別な配慮で補うのでなく、Webにかかわるすべての人の努力で高めていくべきだと書かせていただきました。今回提供を開始しましたアクセシビリティ関連のサービスは、Webサイトのアクセシビリティを向上させるための最初の一歩だと考えております。Webアクセシビリティを固く考えず、通常のWeb制作の過程で「当たり前」のこととして組み込んでいただけるようなものにしていきたい、当社のWebアクセシビリティ関連サービスを通じて、私たちのこのような取り組みを理解し、実践していただけるように、引き続き努力していきたいと考えております。

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