2006年9月15日 アックゼロヨンセミナー参加報告 〜ミツエーリンクスのWebアクセシビリティへのアプローチ

Web開発チーム アクセシビリティ・エンジニア
辻 勝利

9月6日、両国KFCホールで行われたアックゼロヨンセミナー 2006 Vol.4に、プレゼンターとして参加してまいりました。今回は、そのセミナーで私たちが皆様にお伝えした内容を中心に、私たちミツエーリンクスのWebアクセシビリティに対するアプローチについて書いてみたいと思います。

配慮から本来あるべき姿へ

今回のセミナーで私たちがもっともお伝えしたかったのは、この部分です。

とかくWebアクセシビリティといいますと、コンテンツを提供する側が何らかの配慮をしなければならないものと考えられがちですが、私たちはWebに関わるすべての人たちが、アクセシビリティを高めるために努力していくべきと考えております。

コンテンツ提供者はもちろんのこと、オーサリングツールの開発者も、ユーザーエージェント支援技術の開発者も、そして特に、Webサイトを実際に利用するユーザーも、少しずつ努力をしていくことでアクセシブルなWebサイトを作っていこうという考え方です。

今回のプレゼンテーションでは、先天性の全盲である私が、実際にスクリーン・リーダー音声ブラウザを操作し、その音声を会場の皆様に聞いていただくことで、全盲のコンピュータユーザーが、どのようにしてWebサイトから情報を得ているかをご説明いたしました。その中で、見出しなどの文書構造がしっかり設定されたWebサイトは、音声ブラウザやスクリーン・リーダーでも情報が得やすいことをお話しいたしました。

アクセシビリティは本来、「近づきやすさ、利用可能であるかどうか」のような意味を持つ言葉ですが、Web制作業界ではどちらかといえば「障害者・高齢者対応」のように使われることが多いのが現状です。Webを標準的な技術を使用して制作する本来あるべき姿に近づけることで、特別な配慮がなくてもアクセシブルなサイトを構築することは可能だと考えられます。

よく見るサイトは、自分でアクセシブルに

では、Webサイトをアクセシブルにするために、ユーザーはなにができるのでしょうか。

私は、自身が利用しているスクリーン・リーダーや音声ブラウザの機能を、ユーザーが十分に活用できるようになることが必要だと考えております。その結果、目的の情報により効率よくアクセスできるようになるからです。セミナーでは、例として代替テキストが全く設定されていないページに、JAWSを使って独自のカスタムラベルを設定する方法と、自身が設定したカスタムラベルをパッケージ化し共有することで、他のユーザーの同じWebページへのアクセスの利便性を向上させることができることについてお話ししました。

もちろんすべてのユーザーがこのようなスクリーン・リーダーの機能をフルに活用できるわけではありませんが、ユーザーも自分にできることからWebサイトを自身のためにアクセシブルにしていく努力は必要なのではないかということをお伝えしたかったのです。「Webサイトから効率よく情報を得るために、ユーザーももっとがんばろうよ」というメッセージは、多くの方にご賛同いただけたという点で、今回このプレゼンテーションを行ってよかったなと感じました。

ミツエーリンクスのアクセシビリティに対するアプローチ

最後に、私たちが日ごろから取り組んでいるミツエーリンクスのアクセシビリティに対するアプローチについて簡単にご紹介します。

スキップリンクや「ここから〜〜です」のように、音声ブラウザやスクリーン・リーダーのためにWebサイトに特別な機能を実装するのでなく、標準的な技術を用いてWebサイトを構築していくことで、誰にでも使いやすいWebサイトを作っていくべきだという考え方です。これにより、最終的には「Webアクセシビリティ」そのものが必要なくなるような世の中を目指して、今必要なアクセシビリティ対応を行っていきたいと考えております。

視覚的な効果を得るためにさまざまな技術を用いたコンテンツがありますが、可能な限り(X)HTMLを用いてコンテンツを作成することで、音声ブラウザを含む多くのユーザーエージェントで閲覧ができるようになることから、標準的な技術を用いてWebサイトを構築することは重要なことではないでしょうか。

以上簡単にまとめてみましたが、誰にとっても使いやすいWebサイトをもっと増やすため、Webに関わるすべての人たちが少しずつ力を出し合っていくことの重要性をひとりでも多くの方々に理解していただくため、今後もがんばってまいりたいと思います。

ところで、Webアクセシビリティの重要性はさまざまな場所で述べられておりますが、いくらアクセシブルなサイトを構築しても、最終的にコンテンツそのものに魅力がなければユーザーをひきつけることはできないということは言うまでもありません。