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デバイス間連係でユーザ体験を「つなぐ」

2014年11月21日

インタラクションデザイナー
橋本 直樹

スマートフォンが普及し、ウェブサービスとユーザとの接点として、デスクトップだけでなく、モバイルも想定することはかなり一般的になってきました。

今回はそうした接点同士をつなぐことが、シームレスで良いユーザ体験の実現につながるということを話したいと思います。

デスクトップOSとモバイルOSの連係

先月10月中旬にMac OS Xの最新バージョンであるOS X Yosemiteがリリースされました。このOS X YosemiteではOS XとiOSとの連係が強化されました

例えば、アプリの連係として、

  • 帰りの電車で気になる新製品のニュースページをiPhoneで読んでいたら、自宅のMacに読んでいるページのアイコンが表示されていて、クリックしてすぐに続きを広い画面で読み始められる。
  • 仕事での移動中、iPhoneでメールの下書きを書いておいた。Macにも下書きが共有されていたので、会社に着いてからMacで補足資料を作って、先ほど書いたメールに添付して送る。

といったことが自然にできるようになっています(Handoff機能)。

これまでは、iPhoneなどのモバイルデバイスで見ていたページをデスクトップPCで検索し直すなど、デバイス間で壁を感じることも自然でしたが、最近はクラウドプラットフォーム(Apple製品ではiCloud)が各デバイスをつなぐ情報のパイプを担うようになってきました。

もちろん、ウェブサービスなら同じアカウントであれば同じデータにアクセスできるわけですが、デバイス間での連係/同期を意識して、ユーザ体験に穴を作らず、スムーズにしていくことがより重要になってきます。

連係が図れているサービス例

具体例として、こうしたデバイスの壁を感じさせず、連係を上手にやっているなと感じたサービスをご紹介しましょう。

電子書籍で読んでいる位置を同期(Amazon Kindle WhisperSync)

私はKindle書籍を、電車の中など外出時はiPhone版アプリ、自宅ではiPad版アプリで読むのですが、帰宅してiPadでKindleを開いた時にiPhoneでの続きがすぐに読めます。今では当たり前になっているサービスではありますが、これは嬉しいですね。

なお、この同期機能(WhisperSync)はオーディオブックにも対応しているようで、電子書籍の続きを声で聴くことができます。まだ試せてはいないのですが、普段はiPhoneで読んでいて、洗濯物を干している時や混雑した電車内など手が使いにくい環境なら朗読にスイッチ、という読み方(聴き方?)の幅が広がるような連係も実現できているようです。

訪問場所の記憶(Googleマップ)

Googleマップは、検索した場所の履歴を、検索欄をフォーカスするだけで簡単に呼び出せるようになっています。

訪問の前に前もって出発時間を調べておくことはよくあるかと思いますが、そういうシーンでとても役立つ機能です。例えば、夕方頃にお客様へ訪問する予定があるとして、何時に会社を出ないといけないかを、前日の就寝前にiPhoneのGoogleマップでサッと調べておきます。

そうすると次の日、会社のデスクトップでGoogleマップを開いた際に、履歴から件の会社に行く経路が簡単に調べられます(欲を言えばもう一歩進めて、前夜に指定していた到着指定時刻も履歴として残して欲しいところですが)。単なるアクセスしやすい履歴機能と言えばそれまでではありますが、これがあることでGoogleマップ体験はかなりスムーズになっていると感じます。

また、今後より連係が進んだら、調べ直さずともパーソナルアシスタントアプリのGoogle Nowが、検索した場所に行く時間になったら教えてくれる、ということになっていくかもしれません(※現在はAndroidでカレンダーに登録されている時には通知してくれるようになっています)。

連係を進めてほしいサービス例

現在は実現されていませんが、そうなっていって欲しいという例も挙げてみましょう。連係を考えていくと、こういう改善の切り口があるのでは?という一例です。

検索したレシピの同期

晩ご飯を作る際にレシピ検索サイト/アプリ(クックパッド)をよく利用するのですが、iPhone版とiPad版を使い分けています。

具体的には、帰宅途中に作るものを調べて、今日の献立を決めて、スーパーで材料を購入して、とここまでは外にいることもありiPhone版アプリで行うことが多いですが、帰ってから料理をする時にはタブレット版もしくはPCサイトを使っています。

なぜなら、料理中は手が汚れることが多くて、なるべく画面を触らなくても良いように、広い画面で一覧性を持ってレシピを見たいからです。

ただし「最近見たレシピ」を閲覧できる機能は両アプリにあるのですが、現状はiPhone版とiPad版で同じアカウントでログインしても別々の管理になっているのか、両デバイスで連係はされていないようで、iPadでもう一度レシピを探し直さなければなりません。

カスタマージャーニーから接点を可視化し、接点同士をつなぐ

いくつか例をご紹介しましたが、連係/同期も闇雲に何でも進めればいいわけではもちろんなく、まずはカスタマージャーニーマップを通じて、ユーザの生活の中で、どういう利用シナリオが考えられ、その中でユーザはサービスとどういう接点を持つのかをまず可視化する必要があると思います。

その中で、接点同士を意識して繋ぐ必要のある箇所について、重点的に連携していくという進め方が良いのではと考えています。

上記のレシピ検索でも(単なる私個人の体験ではありますが)レシピの検索・決定にはスマートフォンを、調理過程ではタブレット/PCをというそれぞれの接点があり、それらを「最近のレシピ」でつなぐことで、両者の摩擦を減らしていくことができるわけです。

サービスのUI改善においては、目の前にある単一のデバイスのUI改善に(その改善に集中してしまうがために)視点が絞られてしまいがちですが、様々なデバイスで接点を持ったユーザ体験をつなげていく視点と実行策が併せて必要になるのではないでしょうか?