2020年9月11日 UIデザインとUI開発の界面におけるコミュニケーション改善

取締役兼CTO
木達 一仁

当社では、多くのプロジェクトにおいてUIデザイナーとUI開発者が参加し、それぞれの強みや専門的知見を活かし協業をしています。どちらの職種がどのような工程を担うかは、私がかつて書いたコラム「UIデザイナーとUI開発者」をご覧いただければと思いますが、前者の意図したビジュアルデザインを後者がWeb技術を用いて具現化する、というのが大まかなワークフローです。

社内で現在進行中の取り組みのひとつに、UI開発者の作業結果に対するUIデザイナーのレビューの強化があります。「餅は餅屋」の精神で分業を是としてきただけに、従来から同様のプロセスは存在していたのですが、複数のプロジェクトにおける振り返り結果から、強化する必要が生じたのです。そしてその取り組みは、本質的にはUIデザインとUI開発の界面におけるコミュニケーション改善と、私は捉えています。

UIデザイナーは、サイトを代表するページのデザインカンプを制作します。またそこから派生して、サイト内で繰り返し用いるパターン(当社ではこれを「モジュール」と呼んでいますが、業界的には「コンポーネント」や単に「パーツ」とも呼ばれます)の一覧をデザインします。UI開発者は、それらのデザインデータを受け取り、設計……Webブラウザーなどで利用できる形に言わば「翻訳」をするのですが、設計に着手する時点で

  • サイト内で必要なモジュールすべてのデザインができていない(モジュール一覧におけるモジュールの網羅性が不十分であることが後工程で発覚する)
  • サイト内で発生し得るモジュールの組み合わせすべてでビジュアルデザインを確認できているわけではない(予期せぬ組み合わせの必要なページの存在が後工程で発覚する)

といった傾向が、プロジェクトの規模が大きければ大きいほど、強くなりがちです。その結果、各ページを個別に実装した後になって、UIデザイナーの趣意との齟齬や、トーン&マナーにおける不整合が明るみとなる事態が起こり得ます。かといって、UIデザインの段階で上記2項の完全性を担保しようとすれば工期全体の延長は避けがたく、そこで前述の「UI開発者の作業結果に対するUIデザイナーのレビュー」が必要となるわけです。

その種のレビューは確かに必要ですが、後工程での手戻りを最小化するには、前工程における連携、コミュニケーションが鍵となるはず。扱う対象の粒度の違いから、ともするとUI開発者は「木を見て森を見ず」、逆にUIデザイナーは「森を見て木を見ず」になりがちですが、同じひとつのサイトをデザインする立場同士、いつの時点でどういった情報を共有し確認しあうことが必要か、の見直しも重要になるでしょう。

近年、デザインツールの進化には目覚ましいものがあります(アートディレクションチームの青野が執筆したコラム「Webデザイン制作を加速させる新時代のデザインツール」も是非ご覧ください)。また、デザインシステムの構築というトレンドにおいては、ビジュアルデザインにおける各種の値を「デザイントークン」として流通させる取り組みが見られます。そうした業界動向も適宜踏まえつつコミュニケーションを改善し、より良いデザインとより高い生産性の両立を目指していければと思います。

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