【海外UXイベント紹介】CHI 2018

UXエバンジェリスト 金山

2018年4月21日から26日、HCI(Human Computer Interaction)の領域における世界最高峰の国際会議、CHI 2018(Conference on Human Factors in Computing Systems)がモントリオール(カナダ)で開催されます。そこでは、ユーザインタフェース、情報アーキテクチャー、ユーザビリティといった、HCIの幅広い分野にまたがる研究成果が発表されます。CHIは、論文採択の難易度が高い国際会議としても知られています。

前回の記事でご紹介したUXPAは実務者を対象にしていますが、CHIは何年も先の未来を見据えたアカデミックな内容です。今回は、CHI 2018で自分自身が目を惹かれたキーワードやテーマに絞ってご紹介したいと思います。

CHI 2018のWebサイトに掲載されている紹介ビデオ

自動運転車

ホットな話題として気になったのは「自動運転車」に関連するものです。自動運転の実用化に向けて法整備や安全性検証などが進む中、自動運転車に乗る際の車とのやりとりや走行中の安心感や楽しさをどのように創り上げていくのか、近い将来必ず必要となる話題が満載のテーマだと感じました。"Interactivity in Autonomous Vehicles" のタイトルで、複数の論文発表が行われます。

  • Feel the Movement: Real Motion Influences Responses to Take-over Requests in Highly Automated Vehicles Honourable Mention
  • What makes an automated vehicle a good driver? Exploring lane change announcements in dense traffic situations.
  • Communicating Awareness and Intent in Autonomous Vehicle-Pedestrian Interaction
  • The Meaning of Interactivity--Some Proposals for Definitions and Measures

ポスト資本主義

大きなトレンドとして「ポスト資本主義」を扱ったワークショップがあります。技術中心で新しいインタフェースの提案も数多くある中、資本主義の次にどんな世界が来るのか予見しながら、そんな未来で必要となるインタフェースとはどんなものなのか、参加者からどんなアイデアが出るのかとても興味深く感じました。自分の中で、ポスト資本主義を感じさせるものとして、以下のセッションが気になりました。

  • From Tool to Partner: The Evolution of Human-Computer Interaction

これまで自分自身は、コンピューターを道具と位置付け、道具を使いやすくする(=ユーザビリティを高める)とのスタンスでした。AIの実用化が急ピッチで進み、コンピューターを道具ではなくパートナーとして見た場合、どのようなコラボレーションが考えられるでしょうか。

VR、AR、MRの応用

VR、AR、MRに関すセッションも数多くありますが、仮想と現実をシームレスにつなぐ事例やAIと組み合わせた事例として、Demonstrations Trackに採録された2件が気になりました。

  • Can I GetToyIn? : A Box Interface Connecting Real and Virtual Worlds

実・仮想世界のドールハウス遊びを組み合わせるとのことで、CHI 2018紹介ビデオの中でも登場します。子供だけでなく大人も見て楽しい世界観が実現されており、このようなストーリー性がある取り組みが増えて行って欲しいと思います。
発表者の関連サイト:お茶の水大学椎尾研究室Wiki

  • Virtual Reality as a User-friendly Interface for Learning from Demonstrations.

VRを使ったインタフェースにおいて、利用者が使ったデータから模倣学習して行く研究のようです。AIが人から学んでどんどん進化する様子が見た目で分かります。職人技の伝承目的でも、このような研究が役立つのではないでしょうか。
発表者の関連サイト:東京大学松尾研究室 - Matsuo Lab

今年度、弊社からCHI 2018 に参加する予定はありませんが、先進的な研究・取り組みを参考にして、Web制作の現場にも展開できればと思います。

過去のCHIイベント参加報告記事

弊社スタッフが過去にCHIイベントに参加した際の参加報告記事も掲載していますので、ご興味がある方はご覧ください。