HCD-Netフォーラム2018参加レポート(1) ~オープニングパネル「HCD-Netの現在と未来」~【資格】

UXエバンジェリスト 金山

NPO法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net)が主催するHCD-Netフォーラム2018が、2018年11月30日(金)~12月1日(土)、東海大学高輪キャンパスで開催されました。 賛助会員の私は、講演などインプット主体の1日目に参加しましたので、気になったポイントをピックアップして複数回に分けてご紹介いたします。はじめに、オープニングパネル「HCD-Netの現在と未来」を取り上げます。

HCD-Netは最近、新しい運営体制に刷新されたこともあり、『あらためて「Human Centered Design」の意味を考える ~時代に合わせて"変わるもの"と"変わらないもの"~』と言うテーマが設定されていました。

オープニングパネルではまず、新理事長の篠原氏より、3テーマ【資格・教育・ナレッジ共有】が説明されました。

次に、ゲストの大野健彦氏 (NPO法人 ヒューマンインターフェース学会 ユーザエクスペリエンス及びサービスデザイン専門研究委員会(UXSD)・委員長)より、3テーマに対する現状認識と期待が述べられ、それを受けた形で3テーマそれぞれにアサインされた理事がテーマごとに発表しました。

本記事では、テーマ1【資格】にフォーカスして、大野氏のお話とサブテーマ別の理事発表内容を見ていきます。

テーマ1: 専門家・プロフェッショナルの資格認定

大野氏からの言葉の要約

資格は企業にとって重要なので、ある程度のスキルを裏付けるものであって欲しい。そのためには、高いハードルを設けるなどの工夫が必要である。ビジネスがグローバル化しているので、国際的にも認められる資格であって欲しい。

プロフェッショナルとは

各理事が考える「プロフェッショナル」を整理すると以下のようになります。

プロフェッショナルは、一つの分野に秀でており、仕事を依頼され、成果を出す。そして、自分より優れた人材を育てることができる。

想い

プロフェッショナルとして認定された資格取得者に対する想いが各理事から語られました。

仕事を依頼する人は、資格があると不安が軽減される。仕事がリピートしてくると資格がなくても大丈夫になる。最初はお門違いの話が来ても、知らないから断るのではなく、新しい視点を欲している人に対してどうやって人間側の視点をアレンジして取り込めるか考えて欲しい。 資格取得者は、「HCDオタク」になって専門家の視点を押し付けるのではなく、相手に合わせて欲しい。例えば、「ペルソナ」を使わず「顧客モデル」などと相手が分かる言葉に言い換える。学んだことを製品開発に活かして成果を出し、社内外でアピールすることで、専門性がどのように役立っているのか広く共有していくべきである。成果を出し続けるために、継続して知識習得・スキルアップして、水準を維持することが必要である。

将来

資格認定を将来どうしていくべきか、過去・現状を踏まえて意見が出されました。

HCD専門家認定の申請書が分かりづらいので、変えていく必要性を感じている。認定制度に不満がある人は認定センターに参加して自ら改善して欲しい。資格はあり続けるが、中身(コンピタンス)は変えていく必要がある。 今後、実践だけする人の需要も増えていく。総務省にHCD専門家を必須にしてもらえるように働きかけている。

HCD-Net資格認定センター事業部長の羽山氏は、HCD専門家・エキスパートの認定資格受験者の気持ち(の高まり具合)をグラフ化して、資格取得のジャーニーを解説していました。

HCD専門家・スペシャリストのジャーニーマップ(写真提供/山口優様)HCD専門家・スペシャリストのジャーニーマップ(写真提供/山口優様)

資格の国際化は、これまで検討していたが未だ検討・調整の途上で、知見があれば、情報・意見が欲しいとのことでした。篠原理事長からは、他国の資格認証制度の紹介がありました。

  • UXQB(ドイツ):UPA Germany 基礎 CPUX-F、上級 CPUX-UR
  • UXQCC(オーストラリア):ヨハネス氏 基礎、上級、専門

まとめ

オープニングパネルは、理事一人一人の経歴や考えを聴くことができたので、HCD-Netの方向性を感じる貴重な2時間でした。自分自身もHCD専門家の更新を控えており、あらためて今後何をすべきか・できるか考えたいと思います。

次回から、オープニングパネルの残り2テーマと基調講演の3セッションについてレポートしていく予定です。

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2017年9月28日 HCD-Netフォーラム2017参加レポート ~HCD実践のヒント~