2023年10月6日 WCAG 2.2の勧告

エグゼクティブ・フェロー
木達 一仁

世界中で広く活用されているWebコンテンツのアクセシビリティに関するW3Cのガイドライン、Web Content Accessibility Guidelines(WCAG)の最新バージョン、WCAG 2.2が10月5日付けで勧告されました。前バージョンの2.1からは、およそ5年ぶりのアップデートとなります(コラム「WCAG 2.1の勧告」参照)。

バージョン2.0から2.1へアップデートされた際の流れを汲み、WCAG 2.2では認知障害や学習障害のあるユーザー、弱視のユーザー、モバイルデバイスを利用するユーザーへの対応が強化されています。具体的には以下に示すとおり、4つのガイドラインに関して都合9つの達成基準が新たに追加されました。

  • ガイドライン 2.4 ナビゲーション可能
    • 2.4.11 隠されないフォーカス(最低限)(適合レベルAA)
    • 2.4.12 隠されないフォーカス(高度)(適合レベルAAA)
    • 2.4.13 フォーカスの外観(適合レベルAAA)
  • ガイドライン 2.5 入力モダリティ
    • 2.5.7 ドラッグ動作(適合レベルAA)
    • 2.5.8 ターゲットのサイズ(最小限)(適合レベルAA)
  • ガイドライン 3.2 予測可能
    • 3.2.6 一貫したヘルプ(適合レベルA)
  • ガイドライン 3.3 入力支援
    • 3.3.7 冗長な入力(適合レベルA)
    • 3.3.8 アクセシブルな認証(適合レベルAA)
    • 3.3.9 アクセシブルな認証(高度)(適合レベルAAA)

個々の達成基準の詳細につきましては、字数の兼ね合いもあり本コラムでは取り上げませんけれども、ご興味ございましたら、12月14日に開催を予定しておりますWeb担当者のためのピンポイント講座 / WCAG 2.2 解説セミナーにぜひご参加ください。

また、バージョン2.0から存在していた達成基準、4.1.1 構文解析(適合レベルA)が、WCAG 2.2では削除されています。これにより、WCAG 2.2の達成基準の数は合計86となっています。達成基準の適合レベルごとの内訳や、過去のバージョンからの変遷は、以下の表にあるとおりです。

WCAG 2.0 WCAG 2.1 WCAG 2.2
適合レベルA 25 30 31
適合レベルAA 13 20 24
適合レベルAAA 23 28 31
61 78 86

当社はWCAG 2.2の勧告を受け、「ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン(WCAG)2.2への標準対応の開始について」というニュースリリースを発行しました。WCAG2の適合レベルAに準拠したコンテンツの実装・検品を標準的にご提供する「標準対応」について、2024年1月以降はその品質基準にWCAG 2.2を採用する、というお知らせです。それ以降は、特別にご指定のない限り、WCAG 2.2に基づくアクセシビリティをご提供してまいります。

最後に、WCAG 2.2策定のこれまでの道のりを、アクセシビリティBlogに投稿された関連記事で振り返ってみましょう:

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