Amazonのアンバランスな(そして珍しくはない)言語戦略

(この記事は、2017年10月19日に公開された記事「Amazon's uneven (and not unusual) language strategy」の日本語訳です。)

Amazon Crossingは、英語以外の言語で書かれた書籍の英語訳に特化した、Amazonのサービスです。ほんの数年のうちに同サービスは、文学作品の翻訳において大変人気のあるサービスへと成長しました。

私は以前Amazon.inについて、インドの言語のサポートが芳しくないことを書きました。しかしAmazon Crossingで翻訳を希望する書籍の登録ページを見ますと、ヒンディー語ベンガル語パンジャブ語がサポートされています。以下のスクリーンショットで、右側にグローバルゲートウェイが見えるでしょう。

Amazon Crossingで翻訳を希望する書籍を登録するページのスクリーンショット

このグローバルゲートウェイは(残念ながら)地球のアイコンを伴っていません。個人的には、Amazon Crossingのロゴデザインに理由の一端があると思っています(地球の絵は一つあれば十分でしょう)。

サポートされている言語には他にアラビア語ポルトガル語ロシア語があります。興味深いのは、サポートしている言語の組み合わせがAmazon.comのサイトと著しく異なっている点です。

2017年版Webグローバリゼーション・レポートカードに記したように、Amazon.comとAmazon Crossingはいずれも、英語に加えて13言語をサポートしています。これは、言語サポートがトップクラスのグローバルサイトと肩を並べるまでの道のりが遠いことをあらわしています。以下のグラフは、グローバルブランドがサポートする平均言語数の推移を過去7年にわたりグラフ化したものです。

過去7年間の平均サポート言語数の推移。2010年が22、2011年が24、2012年が26、2013年が28、2014年が28.7、2015年が29.7、2016年が30.3、2017年が31と右肩上がりで増加し続けている。

注目していただきたいのは、Amazonのサポート言語が、製品やサービスによって異なりアンバランスである点です。これは決してAmazonだけに見られる事象ではありません。私が一緒に仕事をした多国籍企業の多くが、サポート言語の組み合わせを使い分けています。その根本的な理由とは、製品やサービスが異なれば、ターゲットからマーケティング戦略、パートナー企業、ローカルな市場機会に到るまでも異なるということです。

しかしどうすればアンバランスな言語戦略と、一貫性あるグローバルなコンテンツ構造のバランスをうまく保てるでしょうか? 仮にロシア向けにローカライズされた製品ページがあったとして、そのページの訪問者がグローバルナビゲーションから別の製品を選択した際、遷移した先もロシア向けに作られていると期待するのは自然ですが、バランスが取れていないと訪問者は期待と異なる結果を目にすることになります。

この問題は、グローバルな製品情報やマーケティング戦略を分散させればさせるほど、より深刻なものとなります。

言わずもがな、あらゆる挑戦は機会でもあります。どれだけユーザーの期待に応えられたか、言語的な期待に応えられたか、言語の壁を乗り越えるために機械翻訳をどれだけ活用できたかは、企業が競合と差別化できる領域です。

言語的な期待に関し、どの企業がどれだけ良い仕事をしているか知るには、Webグローバリゼーション・レポートカードをご活用ください。

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