2020年1月21日 サステナブルWebデザイン

取締役(CTO)
木達 一仁

昨年来、気候変動にまつわるニュースが、世界的に注目を集めています。スウェーデンの環境活動家、Greta ThunbergさんがTIME誌の選ぶ2019年のパーソン・オブ・ザ・イヤーに選ばれたのは、その象徴でしょう。

今なお続くオーストラリアの深刻な森林火災に関連して、気候変動と山火事を引き起こす天候のあいだには相関があるとの研究報告があります。また日本国内に目を向ければ、大きな災害をもたらした昨年の台風15号・19号が記憶に新しいですが、地球温暖化により台風は強大化するとの説があります。

気候変動によってもたらされ得る脅威に対し、世界は手をこまねいているわけではありません。2016年に導入が始まった国連の開発目標、Sustainable Development Goals(SDGs)に掲げられた17の目標には、「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」という目標が含まれています。

前置きが長くなりましたが、当社の主たる事業でありますWebサイトの構築や運用も、一連の動きと無関係ではない、少なくともそう捉えるべきではないと思います。日常的に意識することは難しいかもしれませんが、Webを介したコミュニケーションにおいても、少なからず電力が消費されています。都度の消費量がたとえ微々たるものであっても、合算すれば相当なエネルギーとなるはずです。

そうした理由から私が注目し、また2020年のWebデザイントレンド 解説セミナー(現在、4月15日開催の第3回の参加者を募集中)で触れているのが、サステナブルWebデザインという考え方です。

この考え方はつい最近になって登場したわけではなく、今から7年前の2013年の時点で、そのものズバリのタイトル「Sustainable Web Design」という記事が、オンラインマガジンのA List Apart(ALA)に掲載されています。また近しい内容では、ALAと並び英語圏のWebデザイナー/Web開発者に人気のあるメディア、Smashing Magazineに「Making The Web A Better Place: Guidelines For “Green” Web Design」という記事が、2010年の時点で掲載されています。

サステナブルWebデザインとは、どのようなデザインを指すのでしょう? 2016年に書籍『Designing for Sustainability: A Guide to Building Greener Digital Products and Services』を著したTim Frick氏が営むデジタルエージェンシー、Mightybytes社が立ち上げたWebサイト「What is Sustainable Web Design?」では、以下の4点がその主たる要件として挙げられています。

ファインダビリティ
コンテンツの見つけやすさ、目当てのコンテンツに到達するまでに経由するページの少なさ
表示パフォーマンス
高速なWebページの表示
ユーザー体験のためのデザイン
デバイスを問わず優れた体験をもたらす、効果的でアクセシブルなデザイン
グリーンホスティング
再生可能エネルギーを利用したり、環境事業に貢献するホスティング業社の利用

消費電力の抑制ばかりにとらわれると、動画もアニメーションも一切使わない、画像さえ掲載しないテキストのみによるデザインを想像してしまうかもしれませんが、決してそういうデザインが求められているわけではありません。ビジネスニーズとユーザーニーズの双方を満たすことを大前提としながら、消費エネルギーの観点においてより効率的なWebコミュニケーションを目指すアプローチ、と自分は理解しています。

残念ながら、サステナブルWebデザインは目下、業界ないし広く社会において、注目を集めているとは言えません。その高い抽象度ゆえか、活発な議論が交わされている状況でも無いようです。W3Cに設けられたSustainable Web Design Community Groupを覗いてみても、閑古鳥が鳴いている印象を受けます。

しかし、冒頭で触れた自然災害などを背景として、持続可能な社会づくりの推進に向けた種々の活動が加速している昨今、改めて(そう呼ぶかどうかはさておき)サステナブルWebデザインという考え方、視点を持つことは重要だと思います。その重要性は、SDGsの期限と定められている2030年に向け、恐らくそれ以降も、高まっていくものと私は予想します。

そして先にご紹介したサステナブルWebデザインの要件の多くは、いずれも長年にわたって当社が注力し、また強みとしてきた分野です。いわばサステナブルWebデザインの実現は、当社における制作物の品質向上に向けたこれまでの取り組みの集大成との側面を持ちます。当サイトのSDGsへの取り組みというページで、「目標12および目標13への取り組み」として、サステナブルWebデザインの提供に努める旨を記載したのは、そうした考えからのことです。

持続可能社会の実現に熱心な(とりわけSDGsに取り組んでいらっしゃる)企業様からのご相談やお問い合わせを、心よりお待ち申し上げます。

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