英国Bowen Craggs & Co.の許諾を得て、同社が運営するWebサイトの「BC Tips」から抜粋し、グローバルWebサイト事例に関する記事を翻訳してお届けします。

ミツエーリンクスではBowen Craggs社と提携し「グローバルWebサイトベストプラクティス調査」サービスもご提供しています。

Microsoft : 一目でわかるコーポレートガバナンス

アメリカのテクノロジー大手Microsoftは、シンプルな概況報告書をWebサイト上で公開し、訪問者に向けてコーポレートガバナンスの指標すべてを明らかにしています。

(この記事は、2020年9月8日に公開された記事「Microsoft : Corporate governance at a glance」の日本語訳です。)

Screenshot of Microsoft's corporate governance index page

The Feature(実際に行われたこと)

MicrosoftのIRサイトには、「Board & ESG (各取締役会とESG※)」というカテゴリーがあり、この中にコーポレートガバナンスというセクションがあります。

※ ESG:環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭字語

そして、セクションのインデックスページには、コーポレートガバナンスの概況報告書へのリンクがあります。

この概況報告書では、コーポレートガバナンスにおける30の指標と、関連する事実と数字を表形式で掲載しています。そこには「社外取締役の数」や「監査委員会の財務専門家の数」のほか、Microsoftに特定のポリシーや行動規範があるかどうかの詳細も含まれます。

事実と数字の中にはリンクになっているものがあり、クリックすると関連する別のWebページかWord文書のいずれかが開いて、詳細が表示されます。

The Takeaway(ここから得られる知識)

ほとんどの企業は、ジャーナリストが会社概要をすばやく理解できるよう、概況報告書をWebサイト内のメディア向けカテゴリーに掲載しています。コーポレートガバナンスのカテゴリーに概況報告書を掲載しているケースはまれです。

Microsoftが掲載しているコーポレートガバナンスの概況報告書には、見習う価値があります。そのいくつかの理由を紹介しましょう。

まず、すべての主要なコーポレートガバナンスの指標が一目瞭然です。ESGアナリストやその他の訪問者は、Microsoftの全体像を理解するために、カテゴリー全体を掘り下げて調べる手間が省けます。

次に、概況報告書の各指標は、より詳しい情報へのリンクを含んでいます。詳しく調べたい訪問者にとって、このページは効果的な「目次」として機能します。

最後に、概況報告書はPDFではなく、レスポンシブ対応したWebページで提供しています。そのため、モバイル環境でもデスクトップPCと同じくらい快適に読むことができます。

https://www.microsoft.com/en-us/Investor/corporate-governance/faq-factsheet.aspx

Heineken : 包括的な財務関連情報のライブラリー

オランダの大手ビールメーカーHeinekenは、すべての財務関連情報を1つのアーカイブで提供し、投資家が各ページの情報をつなぎ合わせる必要をなくしています。

(この記事は、2020年8月3日に公開された記事「Heineken : Comprehensive financial library」の日本語訳です。)

Heineken results, reports, webcasts and presentations list page

The Feature(実際に行われたこと)

世界第2位のシェアを占めるビール会社Heinekenは、企業Webサイトの「Results, reports, webcasts and presentations (決算報告書、レポート、Webキャスト、プレゼンテーション)」というページに、すべての財務関連資料をまとめています。

資料は、四半期ごとの更新情報や年次報告書など、文書の種類でフィルタリングできます。年ごとの検索も可能で、アーカイブは2010年までさかのぼることが可能です。投資家向けカンファレンスやイベントで使用した、プレゼンテーションや資料、Webキャストも掲載しています。

そして、ページ脇の余白を使用して、最新のWebキャストやメディアリリースを紹介しています。

The Takeaway(ここから得られる知識)

企業の財務関連資料すべてを1カ所で閲覧できるWebサイトは、比較的珍しいといえます。よくあるのは、決算報告書、レポート、Webキャストをグループ化し、プレゼンテーションを別のカテゴリーで掲載する手法です。

忙しい投資家やアナリストは、HeinekenのWebサイトにあるたった1ページに訪問するだけで、必要なすべての財務関連資料を確認したりダウンロードできたりすることを、高く評価するでしょう。

しかし、まだ改善の余地はあります。現在はダウンロードできるファイルの形式が示されていませんし、一度に複数のファイルをダウンロードできる機能はありません。他企業が提供しているようなブリーフケース機能があれば、この問題を克服できるでしょう。また、提供情報の範囲も狭く感じます。例えば、四半期ごとの業績については、ダウンロードできるExcelファイルや背景の詳細な説明がなく、提供されているのはメディアリリースのみです。

https://www.theheinekencompany.com/investors/results-reports-webcasts-and-presentations (リンク先の閲覧には、年齢確認が必要です)

BASF : SNSでの役立つガイダンス

ドイツの化学メーカー大手BASFは、ソーシャルメディアの公式アカウントをフォローすると、どのような情報が得られるのか、求職者へはっきりと提示しています。

(この記事は、2020年7月27日に公開された記事「BASF : Useful guidance in a social directory」の日本語訳です。)

20200901_01.png

The Site(実際に行われたこと)

150年以上の歴史を持つ総合化学メーカーBASFは、公式Webサイトの採用情報カテゴリーに、「BASF on Social Media (BASFのソーシャルメディア)」というページを設けています。

このページには、BASFが学生や求職者とのコミュニケーションに使用している、SNSを紹介するカルーセルがあります。そこには各SNSへのリンクと内容説明もあります。

各SNSの説明文では、公式アカウントをフォローすると得られる情報について、詳しく伝えています。

これはその一例です。「社内イベントの詳細や最新の求人情報を知りたい? それなら、Twitterの公式アカウントをフォローしてね」。

ほかには、このような例もあります。「Instagramの公式アカウントをフォローして、BASFでの仕事やその舞台裏をチェックしよう」。

Facebook、LinkedIn、ドイツで浸透しているXingなど、BASFが使用している7つのSNSにおいて、公式アカウントをフォローするメリットを、具体的に説明しています。

The Takeaway(ここから得られる知識)

今や多くの企業が、WebサイトでSNSの公式アカウントを紹介しています。ユーザーにとって有益なリンクを提供することで、さまざまなチャネルで企業の存在感を示すことに成功しています。しかし、BASFのように「ユーザーがなぜ企業SNSの公式アカウントをフォローしたほうが良いのか」を、説明している例はほとんどありません。

BASFが各SNSの目的を明確に説明しているのは、一貫したコミュニケーション戦略に自信を持っていることの証しです。それは、公式アカウントを管理している社内スタッフにとっても、これからSNSを使用しようとしている社外の人々にとっても、有益です。 

https://www.basf.com/global/en/careers/news-faq/whats-new.html

Anthem : 混乱を招く「About」ページ

アメリカ健康保険大手Anthemの、公式Webサイトにある「About Anthem」という会社情報ページには、根本的な問題があります。

(この記事は、2020年7月22日に公開された記事「Anthem : About page sows confusion」の日本語訳です。)

Screen capture of Anthem's About page

The Site(実際に行われたこと)

アメリカに住む4,200万以上の人々にサービスを提供している健康保険会社Anthemの、消費者向けWebサイトのフッターには「About」というリンクがあります。これをクリックすると「About Anthem」ページに移動します。

該当ページのリード文には、親会社であるAnthem Inc.のWebサイトへのリンクがあります。そして、親会社のWebサイトにも、独自の「About」カテゴリーがあります。

親会社へのリンクの下には、州ごとに異なるAnthemの商号を羅列している、長い段落があります。例えば「Anthem Blue CrossとBlue Shieldの州ごとの商号は、次の通りです。コロラド州:ロッキーマウンテンホスピタルアンドメディカルサービス社...、コネチカット州:アンセムヘルスプランズ社... 」という具合です。

さらに、4段落目では突然、別の会社「Radiant Services」が詳しい説明もなく紹介されています。そして、その下には求職者・メディア・投資家などに向けた情報ページへのリンクが設置されています。

The Takeaway(ここから得られる知識)

Anthemの「About」ページは、インターネットで自社紹介をする際の悪い例といえます。

まず、Anthemは何をしている会社かという説明がどこにもありません。これは大きな見落としです。
その他にも、


  • フッターにある「About」ページへのリンクを見つけるのが難しい

  • 親会社・パートナー・子会社に関する説明が雑然としている

  • 杓子定規な文章のため、訪問者がページ下部にある有用なリンクにたどり着く前に離脱する可能性がある

といった問題があります。

多くの大企業は、どのような会社か、何をしているのか、何のために活動しているのか、といったインターネットでの自社紹介が上手になってきました。そして私たちBowen Craggs社は、過去数年間のトレンドとして数多くの事例を取り上げてきました。

Anthemのやり方は、Webサイトを活用した自社紹介が、まだベストプラクティスを導入していない会社があることを私たちに再認識させます。

https://www.anthem.com/about/

Toyota : タイムカプセルのようなプレスリリースのアーカイブ

日本の自動車最大手トヨタは、過去47年分のプレスリリースのアーカイブを公開しています。

(この記事は、2020年7月14日に公開された記事「Toyota : Press release archive as time capsule」の日本語訳です。) 

Screen capture of Toyota's press release page.

The Site(実際に行われたこと)

アメリカ大統領リチャード・ニクソンがウォーターゲート事件で「私はペテン師ではない」と弁明し、歌手デヴィッド・ボウイが「ライフ・オン・マーズ」をシングルカットした1973年。トヨタは、自動車用通信システム「MAC」を発表しました。このシステムには、自動車電話やリアルタイムの交通状況用ディスプレイパネルなどが含まれていました。

こうしたトヨタの歴史は、グローバルサイトのオンラインアーカイブで見ることができます。ここでは1973年3月2日からのプレスリリースを当時のフォーマットで掲載していて、ダウンロード可能な画像も一部含まれています。

The Takeaway(ここから得られる知識)

トヨタのプレスリリースのアーカイブは、自動車業界の歴史に関心がある人にとって、興味深く魅力的な研究ツールです。さらに、自動車関連企業の社会的責任の歴史をたどる研究者の役にも立つことでしょう。例えば1973年にトヨタは、公害対策に関する複数のプレスリリースを発表しています。

特にジャーナリストは、プレスリリースのアーカイブにできるだけ詳細な情報を求めていますが、本当に詳細な情報を提供している企業はほとんどありません。実際、一部の企業は毎年古いアーカイブを積極的に削除しています。

トヨタの取り組みは、より親切なだけではなく、過去の行動についてオープンで透明性が高いという、力強いメッセージを送っています。

歴史を忘れるのではなく記憶することの重要性が、文化的・政治的に認識されてきた時代にあって、この取り組みは企業コミュニケーションの観点から見てメリットしかありません。

https://search.newsroom.toyota.co.jp/en/all/search.x

Johnson & Johnson : 動画コンテンツは、ライブ配信やオンデマンドで

アメリカのヘルスケア製品大手Johnson & Johnsonは、新型コロナウイルスに関する価値ある情報と詳細なメッセージを、革新的かつ透明性の高いアプローチで提供しています。

(この記事は、2020年7月6日に公開された記事「Johnson & Johnson : Broadcasting Live, and on-demand」の日本語訳です。)

Screen capture of Johnson & Johnson's 'The Road to a Vaccine' page.

The Site(実際に行われたこと)

Johnson & Johnsonは、新型コロナウイルス(Covid-19)のワクチン開発に関する、8部構成のライブ配信動画「The Road to a Vaccine(ワクチンの開発への道のり)」を制作しました。

各動画の長さは30分から1時間です。科学者や他分野の専門家が、新型コロナウイルスの危機に関する課題について、詳しく語っています。

動画は、Johnson & Johnsonの公式サイト「JnJ.com」や、SNSの公式チャンネルでライブ配信しています。過去のライブ配信動画は「The Road to a Vaccine」の番組ページにアーカイブし、出演したプレゼンターや専門家の経歴も掲載しています。番組ページは、公式サイト「JnJ.com」のカルーセルなどで紹介しています。

また、今後の番組テーマの参考にするため視聴者から質問を募集していて、寄せられた内容は動画内やWebサイト上で紹介しています。

The Takeaway(ここから得られる知識)

社外の専門家を招き、長時間のライブ配信をおこなうという、一部企業ではリスクとも取られかねない番組構成は、この動画の存在をより際立たせています。

しかし、現在CNNで活躍するアナウンサーLisa Lingを司会に起用していることで、リスクは回避され、興味深く有益な動画シリーズを創り上げることに成功しました。

資料とプレゼンテーションの両方が、Johnson & Johnsonの高い透明性を力強く発信しています。

また、プレスリリースや概況報告書などの標準的な資料よりも効果的に、Johnson&Johnsonが新型コロナウイルスの対応における世界のソート・リーダーであることを印象付けています。

さらに、Black Lives Matter の抗議活動など、関心の高い社会問題を動画で取り上げることで、重要なテーマに立ち向かうJohnson & Johnsonの高い意欲を強調しています。

そして高額な制作費、公式サイト上の掲示に対する細かなこだわり、そして次シリーズの構想を練るための準備期間は、Johnson & Johnsonがこの動画シリーズに注力していることを示しています。


https://www.jnj.com/latest-news/the-road-to-covid-19-vaccine-live-video-series

Philip Morris International:自社に投資するべき理由を動画で伝える

世界最大のたばこメーカーPhilip Morris Internationalは、Webサイトの投資家向けカテゴリーで短いドキュメンタリー動画を公開し、自社に投資するべき理由を伝えています。

(この記事は、2020年7月1日に公開された記事「Philip Morris International : Presenting an investment case via video」の日本語訳です。) 

Screen capture of PMI

The Site(実際に行われたこと)

「IQOS(アイコス)」や「Marlboro(マールボロ)」などのブランドを保有しているPhilip Morris International(以下、PMI)は、WebサイトのIR情報トップページで、「PMIに投資する理由」というタイトルの動画を公開しています。

大きな画像リンクをクリックすると、IRを担当する副社長Nicholas Rolli氏による約3分間の動画が始まります。

この動画は、PMIが「魅力的な投資先」だと確信できる理由を、訪問者に説明することが目的だとRolli氏は語ります。

この動画はドキュメンタリーのような構成になっています。工場や研究所の映像に加え、PMIのオフィス内を歩きながらRolli氏が説明するシーンも含まれています。

そして、投資の観点から見たPMIの主な強みを、箇条書きで説明しています(スクリーンショット参照)。

あるシーンでは、Rolli氏がニューヨーク証券取引所のトレーダーにインタビューしています。

The Takeaway(ここから得られる知識)

投資するべき理由を説明したページを、Webサイトの投資家向けカテゴリーで掲載するケースが増えてきました。このようなページは、潜在的な投資家や初めてその会社を調査するアナリストに、会社を紹介するという重要な目的を果たします。

しかし、他社のWebサイトでは、図表など多少の視覚的な要素で補足したページはあるものの、ほとんどがテキストと画像のページばかりです。会社への投資を促すための情報を、伝える動画はありません。

PMIのような動画は、他のフォーマットよりも詳細な情報を伝えられなかったり、高額な制作費用がかかったりする可能性があります。しかし、多くの訪問者はより魅力的でわかりやすい会社紹介を見ることで、IRカテゴリーをもっと掘り下げて、さらなる事実と数値を求めたくなることでしょう。

さらに、IR担当の副社長が動画の進行役を務めていることから、ファンドマネージャー・アナリスト・個人株主とのコミュニケーションの中で、オープンで透明性があり、期待以上の働きをしてくれそうという姿勢が相手に伝わります。

これらの理由により、PMIは投資家向けのコミュニケーションにおいて、この方法には価値があることを見いだすでしょう。


https://www.pmi.com/investor-relations/overview

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