英国Bowen Craggs & Co.の許諾を得て、同社が運営するWebサイトの「BC Tips」から抜粋し、グローバルWebサイト事例に関する記事を翻訳してお届けします。

ミツエーリンクスではBowen Craggs社と提携し「グローバルWebサイトベストプラクティス調査」サービスもご提供しています。

Lemonade : 平易な言葉で書かれたFAQ

設立間もない保険会社Lemonadeは、自分たちが何をしている会社かをWebサイトで明確かつ効果的に発しています。

(この記事は、2020年2月26日に公開された記事「Lemonade : Plain-language FAQ」の日本語訳です。)

Lemonade's FAQ page with jumplinks for - about Lemonade, policy stuff, claims, insurance explained, extra coverage, and giveback and community

The Site(実際に行われたこと)

2015年にアメリカで設立された保険会社Lemonadeは、アメリカ国内向けのWebサイトにおいて、グローバルナビゲーションの左から2番目、「Home(ホーム)」の隣という目立つ場所に、「FAQ(よくある質問)」ページへのリンクを設けています。

FAQページでは、画面上部を横切るように、6つのカテゴリーへのリンクが配置されています。カテゴリーはそれぞれ「About Lemonade(Lemonadeについて)」、「Policy Stuff(保険証券に関すること)」、「Claims(保険金の請求)」、「Insurance Explained(保険の説明)」、「Extra Coverage(追加補償)」、「Giveback and Community(社会貢献とコミュニティ)」です。

掲載されている主な質問の文体は、
「Lemonadeのビジネスは、伝統的な保険会社とどう違うの?」、「Lemonadeはどのように構成されているの?」など、くだけた雰囲気であり直接的です。

FAQページでは、会社や保険業界に関する情報のほか、「ルームメイトは保険の対象ですか?」などの、顧客からの質問を掲載しています。

The Takeaway(ここから得られる知識)

比較的新しいFinTech企業であるLemonadeは、潜在顧客をはじめ、未開拓ユーザーや見込み顧客など他のユーザーグループに、Lemonadeがどのような会社か、何をする会社かを、できるだけ効果的に伝えるという明確な狙いがあります。

そのため、LemonadeのFAQページは、わかりやすい質問と専門用語のない回答で成り立っていて、編集部門の努力が際立っています。これらは、「About us(私たちについて)」ページの内容を考える際にも効果的です。 たとえば、前述の「Lemonadeはどのように構成されているの?」という質問への回答は、まさにシンプルさの見本であり、理解しやすく、法律用語を一切使用せずにスッキリしています。

「About us(私たちについて)」の内容を、LemonadeのようなFAQページにならって置き換えるよう、すべての企業に推奨しているわけではありません。しかし、ユーザーからの質問を「About us(私たちについて)」の内容を考えるための資料にすることは、悪いアイディアではありません。

ただ、FAQページの網羅性は強みである一方、ユーザーがすべての質問を見ない場合、そのページの長さは潜在的な弱点といえます。FAQページ上部にある6つのカテゴリーへのリンクは、訪問者の誘導に役立ちますが、すべてのコンテンツを表示するためには、さらなるスクロールが必要です。そして、多くの企業、とりわけアメリカ国外に顧客を抱える企業にとって、このFAQページで使われている文体は、くだけ過ぎているかもしれません。

しかし全体的に見れば、企業による過度な情報発信が分かりにくさを招いているように思えます。そのような中で、Lemonadeのようなアプローチは斬新でディスラプティブです。

https://www.lemonade.com/faq

Apple : 多様性に関するユニークなダッシュボード

アメリカの大手テクノロジー企業Appleは、有益で魅力あるインタラクティブな図表で、従業員の性別、人種・民族のデータを提示しています。

(この記事は、2020年3月17日に公開された記事「Apple : A distinctive diversity dashboard」の日本語訳です。)

Interactive dashboard displaying Apple`s global employee global gender balance and US employee race/ethnicity over the past five years

The Site(実際に行われたこと)

Appleのグローバルサイトにある「Inclusion & Diversity(インクルージョンと多様性)」というページの下部には、「A look at the last five years(過去5年間の概観)」というパネルがあります。

そのパネルには、2018年の「男女別従業員数」の内訳を示す円グラフと、同年の「アメリカで働く従業員の人種・民族」の内訳を示す棒グラフが掲載されています。

図表の上にある、西暦が書かれたラベルをクリックすることで、過去4年分のデータを表示できます。

また、2つの図表の下にある「Tech(技術職)」、「Leadership(経営職)」、「Retail(小売職)」などのラベルをクリックすると、従業員の職種ごとの多様性データを表示できます。

これらの各ラベルはユーザーがクリックすることで、図表とデータが優雅なアニメーションで変化し、関連する数値を表示します。


The Takeaway(ここから得られる知識)

Appleの多様性データを示すインタラクティブな図表は、過去や現在のデータを分かりやすく魅力的な方法で提示する効果的な仕組みです。

ただ、この仕組みは、イギリスの石油大手BP社が提供する非財務実績データの図表ほど洗練されておらず、柔軟性もありません。

また、専門の研究者が高く評価するであろう、データのダウンロード提供もしていません。

しかし、Appleの従業員層に関する実質的な概要と併せて、オープンで透明性の高い企業であるという印象を、求職者を含む一般ユーザーに伝えています。

https://www.apple.com/diversity/

International Airlines Group : 投資事例におけるサステナビリティを見落とす

(この記事は、2020年2月26日に公開された記事「International Airlines Group : Overlooking Sustainability in the Investment Case」の日本語訳です。)

航空会社International Airline Group(以下、IAG)は、サステナビリティ面を、投資家にアピールする機会を逃しています。

IAG's Our Investment Case Page. There is no mention of sustainability as a reason to invest.


The Site(実際に行われたこと)

IAGは、自社のWebサイト(www.iairgroup.com)内で投資事例ページを特に強調しています。

メインビジュアルでは「unique value proposition(独自の価値提案)」という言葉を目立たせ、簡単なリード文や投資事例へのリンクを添えています。また、投資事例はWebサイトの階層内に単独で存在させ、グローバルナビゲーションの1番目に配置しています。

グローバルナビゲーションにはサステナビリティのカテゴリーもありますが、投資事例からサステナビリティのカテゴリーにはリンクしておらず、投資を行う理由としてサステナビリティに言及する、ということはしていません。

しかし、IAGはサステナビリティのカテゴリーで「環境への配慮は長期的な成長の基盤です。投資家や規制当局、顧客や従業員は、私たちの進歩的で責任感ある投資事例に期待しています」と、主張しています。

The Takeaway(ここから得られる知識)

IAGの投資事例は、投資家やアナリストにとって有用なコンテンツであり、Webサイトで投資家とコミュニケーションをはかる上で重要なツールです。

しかし、「Our investment case(当社の投資事例)」カテゴリーでは、サステナビリティ実績に関しては、投資家提案の重要な側面と見なしていながらも、アピールの機会を逃しています。

投資家やアナリストが、IAGのビジネス戦略における社会的および環境的要素について調べる際には、Webサイトのサステナビリティカテゴリーにアクセスする必要があります。Bowen Craggsの企業Webサイトのユーザー調査では、ユーザーグループの数人がサステナビリティのカテゴリーにアクセスすることを示唆しています。しかし、投資事例でサステナビリティ関連の要約や宣伝がされていない場合、サステナビリティに関するメッセージを見逃してしまう可能性が高くなるとのことです。

さらに重要な点は、たとえサステナビリティが現時点で企業の投資戦略において明確な要素ではない場合でも、その中にあるべきだということです。

多くの企業が、投資家向けコンテンツなどを用意してWebサイトを有効に利用し、「株主価値」だけでなく、組織の目標をより広く、より深く理解してもらえるようにしています。

www.iairgroup.com

Ambev : 機械翻訳のリスク

(この記事は、2020年2月17日に公開された記事「Ambev : The Perils of Machine Translation」の日本語訳です。)

ブラジルのビールメーカーAmbevの英語版Webサイトでは、重要なメッセージがGoogle翻訳により要領を得ない言葉に変わっています。

English machine-translation of a page on Ambev's website. There are some errors in the translation

The Site(実際に行われたこと)

AmbevのWebサイトへ訪問すると、はじめはポルトガル語のテキストが表示されます。
ヘッダーにある「Select language(言語の選択)」というプルダウンメニューから、「英語」や「スペイン語」に言語を切り替えることができます。
いずれかを選択すると、テキストがその言語に変更されます。ブラウザーのウィンドウ上部にあるメッセージから、テキストはGoogle翻訳によって機械翻訳されたことがわかります。
英語版Webサイトに切り替えた後で「About Ambev(Ambevについて)」というページにアクセスすると、次のようなテキストが表示されます。

'Beer is our passion. Our business is your toast'.
「ビールは私たちの情熱であり、私たちのビジネスはあなたの乾杯です」。

The Takeaway(ここから得られる知識)

これからも多くの企業が、特定地域向けのコンテンツを迅速かつ安価に制作するため、機械翻訳ソフトウェアを使用するでしょう。
AmbevのWebサイトは、人間の監視や品質管理なしで翻訳を完了することのリスクを明らかにしています。
英語版Webサイトにある機械翻訳されたテキストは粗いものが多く、時には完全に理解できないような滑稽なものになってしまいます。
機械翻訳はWeb編集者の仕事を簡単にしてくれますが、その仕事を完全に置き換えることは、まだできないのです。

www.ambev.com.br

Microsoft : Glassdoorによる強化

(この記事は、2020年3月4日に公開された記事「Microsoft : Glassdoor Enhanced」の日本語訳です。)


自社への評価をまとめたパネルは、求職者にとって強力なメッセージとなります。

Glassdoor panel on Microsoft America's careers landing page


The Site(実際に行われたこと)

Microsoftのアメリカ向け採用トップページには、求職者向けレビューサイトGlassdoorのパネルが掲載されています。

パネルには、現在の自社に対する評価(4.2 / 5)、CEOの名前と写真、CEOへの評価(97%、9000以上の評価に基づく)、面接の感想 (好意的、中立、否定的) を示す図表など、主要な情報のダイジェストが表示されています。

このパネルには「powered by glassdoor」と明記されており、Microsoftが自らの意思でGlassdoorのデータを引用していることを示しています。


The Takeaway(ここから得られる知識)

大企業は、自社の職歴ページにGlassdoorへのリンクを含めることを、過去数年にわたって試みてきました。

このようなリンクは、便利な道しるべとなります。そして、さらに重要なのは、自社のWebサイトからサードパーティのレビューサイトにリンクすることで、企業が透明であるというメッセージを伝えられることです。

小さなダッシュボードを置くことで情報の一覧性が上がり、Glassdoorへのロゴリンクを置くよりもはるかにわかりやすくなります。ただ、Glassdoorへの直接リンクがないことを、不満に思う人がいるかもしれません。

それでも、得られる印象は「従業員との関係に誇りを持っている、十分に評価された自信のある会社だ」ということです。これは求職者にとって魅力的なメッセージとなります。

https://careers.microsoft.com/us/en

UBS:気候変動に関する非難への回答

(この記事は、2020年2月12日に公開された記事「UBS : Answering accusations on climate change」の日本語訳です。)

スイスの大手銀行UBSは、気候変動に関する疑惑について自身のWebサイトで、SNSの批評で使われるような言葉で反論しています。

The Site(実際に行われたこと)

UBSのWebサイト内にある「UBS in society」には「Myths and Facts (作り話と事実)」というセクションがあります。そこでは、UBSがかけられた気候変動に関する5つの疑惑と、それに対する公式な回答を掲載しています。
それぞれの「作り話」に対する「事実」が、クリックで表示されます。「作り話」では直接的な言葉が使われています。
たとえば、「UBSは気候に配慮していません。関心があるのは利益だけです」や、「UBSとクレディスイスが『気候キラー』と目される企業に資金を提供したおかげで、膨大な温室効果ガスの排出を引き起こしました。その量は2017年だけで、スイスの全住民と全産業が排出した量の2倍にものぼりました」などです。
一方「事実」では、事実に基づいて簡潔に回答しています。
たとえば、「UBSは気候変動に関心がありません。投資戦略が関係する場所では特に」という「作り話」に対して、UBSは「違います。私たちは昨年、クライアントに800億米ドル相当の気候関連のサステナブルな投資を売却しました」と回答しています。

The Takeaway(ここから得られる知識)

UBSの「作り話と事実」は、オンラインでの非難に対応するための、非常にたくましい取り組みの一例です。
ここで使われている言語は直接的で、ほとんどの企業が望むよりもはるかにぶっきらぼうです。しかし、メディアやオンラインの批評家が、もっと悪い言葉で語っていることは確認されています。
また、「作り話」5に登場したクレディスイスのように、同業の競合他社に言及するのは珍しいことです。
他の企業がUBSと同じ方法を選択するかどうかは、多くの要因を考慮した上で、社内で決定する必要があります。
さらに、この実行には弱点があります(特に2017年の参照は少し古い)。
しかし、批判を認め、平易な言葉を使ってそれに答えるというやり方は、模倣する価値があります。
このことは、企業がアプローチしようとしているユーザーとの信頼関係を築くのに役立ちます。

https://www.ubs.com/global/en/ubs-society.html

PepsiCo:CSRポリシーやスタンスを用語集に

(この記事は、2020年1月21日に公開された記事「PepsiCo : Glossary of CSR policies and positions」の日本語訳です。)

アメリカの大手飲食品メーカーPepsiCoは、社会・環境・ガバナンスのさまざまな問題に関する活動と見解を、A-Zガイド(用語集のようなリスト)として公表しています。

The Site(実際に行われたこと)

PepsiCoのWebサイトにある「SUSTAINABILITY」カテゴリーには、「Environmental, Social and Governance Topics」というコンテンツがあります(上のスクリーンショットを参照)。

ここでは、CSRに関するキーワードが「Agriculture(農業)」から「Water(水)」まで、アルファベット順に並べられ、パネルをクリックすることで展開します。

展開したエリアでは、それぞれのキーワードにまつわる問題に対しての、PepsiCoの目標や優先順位、取り組みを明確に表したテキスト情報を掲載しています。

併せて、関連するPDFドキュメントや「関連トピック」へのリンクも用意されています。

The Takeaway(ここから得られる知識)

AからZまでを網羅する用語集は、CSRトピックに対する会社のポリシーやスタンスを、Webサイトの訪問者へわかりやすく伝えるための、シンプルかつ効果的な仕組みです。

PepsiCoは、それぞれの問題に対する概要、詳細情報へのリンク、PDFによるポリシー文書を公表したことで、博学なWebサイト訪問者とCSRの専門家の両方に好まれる可能性が高まりました。

中には、内容が乏しく見えるキーワードも含まれています。たとえば「Responsible Research」は、2つの文章のみで構成されていて、ダウンロードもリンクもありません。

しかし、全体を見れば、他の企業が自社のWebサイトで、採用を検討するべきアプローチであることは確かです。

https://www.pepsico.com/sustainability/esg-topics