テックラウンジVol.99「RAG実装の成功談&失敗談~20時間の調査がAIで30分になった話~」(9月10日開催)
広報担当 山野井2025年9月10日(水)、社内ナレッジ共有イベント「テックラウンジVol.99」が開催されました。このイベントは、技術だけでなく、ディレクション・デザイン・チーム運営など幅広いテーマを扱い、部署や職種を超えた学び合いの文化を育むことを目的としています。(過去のテックラウンジの様子)今回は、プロセス最適化チームのMさんが登壇し、AI技術「RAG(検索拡張生成:Retrieval-Augmented Generation)」の実践事例を紹介しました。
RAGとは何?~AIの新しい使い方~
「RAG」は、AIが外部データを活用して回答を生成する技術です。社内に蓄積されたPDFやExcelなどの資料をAIが読み取り、質問に対して的確な回答を返すことができるのだそうです。この技術を活用することで、情報検索の効率化や属人化された知識の共有といった効果が期待できます。

テックラウンジの様子
企業調査チャットボットの構築と失敗から学んだこと
Mさんは、自身の担当業務の1つであった、コンペティション参加時などに実施する「企業調査」にRAGを活用。従来は1社あたり最大20時間を要していた調査を、生成AIとRAGを組み合わせたチャットボットを構築することで、効率化した取り組みを紹介しました。初期段階では、AIが関係ない情報を返すなどの課題もありましたが、原因は非構造化データの扱いや、情報の分割方法にあったそうです。この経験から、「完璧を目指すより、段階的に改善すること」「古い情報や誤ったナレッジは誤答リスクにつながること」などの学びが得られたといいます。
成功の鍵は「データの前処理」
AIに正確な回答をさせるためには、データの整え方が重要です。今回の事例では、PDFを画像化し、さらにMarkdown形式へと変換することで、AIが情報を理解しやすい構造に再構築。加えて、利用者の職種や目的に応じてプロンプトを設計するなど、検索精度を高める工夫も施しました。その結果、回答の精度は大幅に向上し調査時間は20時間からわずか30分へと短縮されたそうです。
実演デモも実施
イベントの後半では、実際の企業調査をチャットボットで行うデモも行われました。ローコードで実装可能な仕組みや、ユーザーごとにAIの使い方を変える工夫など、実践的なノウハウが詰まった内容でした。
まとめ
今回のテックラウンジでは、AI技術を業務にどう活かすかという実践的な知見が共有されました。RAGという新しい技術を、試行錯誤を重ねながら業務改善に結びつけた取り組みは、同様の課題を抱えるスタッフにとって、大きなヒントになったのではないでしょうか。
次回のテックラウンジも、どうぞお楽しみに!